およそ2100年前の遺跡から発見された古代の女性が、まるで現代から取り寄せたかのようなアイテムを身に付けている。
考古学者のパベル・レウス氏は、トゥバ共和国の埋葬地から発見された古代の女性、ナターシャの愛称で呼ばれている遺体から、まるで「iPhone」のようなアクセサリーが出土したとして次のように語った。
「この時代の彼女の埋葬は、この遺跡で最も興味深いものの1つです」
実際のところ、このiPhoneのような四角いアクセサリーはベルトのバックルと考えられている。ターコイズ、カーネリアン、パールの象眼細工が施された18cm x 9cmの大きなベルトのバックルで、中国のコインが装飾の一部に使われていた。
研究者らは、コインが最初に造られたときから考えて、女性が最も古くて2,137年前の人物かもしれないとしている。
今回の発見は、2016年にサヤン海のアラテイ埋葬所遺跡にてなされたもの。ロシア最大の発電所であるサヤノシュシェンスカヤダム上流のエニセイ川にある巨大な人工貯水池の中に存在しており、毎年5月と6月に水が放水されて初めて調査が可能となるため、ロシアのアトランティスとも呼ばれている遺跡だ。
この場所では青銅器時代からモンゴル帝国の時代までの墓が発見されており、永らく埋葬地として用いられてきたことが解っている。以前にも、部分的にミイラ化した先史時代の遺体が発見されており、それらも美しい絹の服や革細工に身を包んでいたりしていたという。このアラテイ遺跡からは、110もの埋葬物が発見されているという。
トゥヴァ考古学遠征隊を率いるサンクトペテルブルク物質歴史文化研究所のマリーナ・キルノフスカヤ博士は「昔からの墓荒らしや強盗の被害にも合わず、現代まで残ってくれたこれらの遺物は非常に貴重なものです。この遺跡のおかげで、我々はフン族の富裕層の埋葬を幸運にも確認する事ができるのですから」と語っている。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像&動画 The Siberian Times / YouTube