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視聴率100%!!「UFOロボ グレンダイザー」がフランスで人気となった理由

『UFOロボ グレンダイザー』は、漫画家の永井豪と東映動画が手掛けた「マジンガーシリーズ」第三弾兼最終作となるロボットアニメ作品。

宇宙征服を目論む異星人軍を相手に、主人公がグレンダイザーに乗り込んで戦うという内容で、1975年から77年にかけて放送。2015年には生誕40周年を記念してリメイク漫画「グレンダイザーギガ」が連載、2024年には「グレンダイザーU」という新作アニメも制作。

このグレンダイザーは、実際のところ日本における知名度はそれほど高いものとは言えず、「マジンガーZは知っているがグレンダイザーは知らない」というケースも多い。逆に、グレンダイザーの人気は日本ではなく海外で爆発的なレベルとなっており、中でもフランスでの人気ぶりは凄まじい。

フランスにおいてグレンダイザーは、1978年7月から『ゴルドラック』というタイトルで放送されていた。

その頃は、ちょうど夏休みの時期であったが、悪天候続きのため自宅にてテレビを見る時間が増えた子供たちが、偶然に視聴していたのがそのゴルドラックだった。

当時、フランスでは国内でのアニメ制作よりも日本からのアニメ輸入が非常に安価であった事情もあり、特にこれと言って戦略的なブームを起こそうという意図は一切なかった。ところが、いざふたを開けるとゴルドラックは爆発的な人気となり、なんと視聴率100%を記録した日もあったという。

「コルドラック」は、以後多様な日本のアニメ・漫画作品がフランスに持ち込まれるきっかけともなり、世界でも屈指の日本のアニメ・漫画消費量を誇る現在のフランスを形成するのに止まらず、日本文化の総合博覧会として定例化している「ジャパンエキスポ」の開催にも繋がっていったようだ。

これほどフランスでグレンダイザーが人気になったのは、輸入が安価であったことや偶然にも視聴する時間が増えたタイミングでの放送であったこと以外にも理由があるという。

ライバルの裏番組が無かったということも確かにあるが、それ以上に、それまでフランスで放送されていたアニメ作品にある、いわば西洋的世界観を一変させたことが大きい。ロボットが悪と戦いシリアスな物語を展開させるという内容は、当時のフランスの子供達にとって新鮮であり、強烈なインパクトを刻み込んだのである。

フランスにおけるゴルドラックの人気はすさまじく、2021年に45周年を迎えたはゴルドラックの回顧展が開かれ、記念切手も発売されるなど大盛況となり、かつての視聴者であった子供達が大人になってその懐かしさを味わうと同時に、次代の若者も参入していったことで再ブームを巻き起こした。

かつて19世紀のフランスでは、輸入された陶磁器のクッション材に用いられた葛飾北斎の作品をはじめとして、ロンドン万博やパリ万博を通じて日本画の流行も起こっていたが、アジアが台頭する中で生じた黄禍論にともない終焉した過去を持っている。こうした悲劇的な終焉を再び繰り返すことなく、より素晴らしい日本の作品・文化として受け入れられていって欲しい。

因みに、グレンダイザーはイタリアやアメリカのほかアラブ諸国でも人気を博し、中でもイラクでは「国民が唯一共有できる話題はサッカーかグレンダイザーしかない」というジョークまであり、新イラク国旗のデザイン案にグレンダイザーが描かれた画像がネットでイラク中に広まり、「これなら誰も反対しないだろう」と笑いを誘ったという一幕もあったという。

【参考記事・文献】
フランスの日本アニメブーム元祖、永井豪さん原作「グレンダイザー」 パリでの回顧展に40年来のファン殺到
https://www.tokyo-np.co.jp/article/135224
なぜフランスでは「日本アニメ」が人気なのか? 背景に「安さ」と「気候」
https://www.rekishijin.com/35651
UFOロボ グレンダイザー
https://x.gd/a2adQ
日本のアニメ「グレンダイザー」がフランスで愛され続ける理由
https://x.gd/QhvF0
フランスで視聴率100%だった日本アニメ・永井豪
https://cenecio.hatenablog.com/entry/2016/09/25/171646

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【文 ナオキ・コムロ】

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