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「カラスが鳴くと人が死ぬ」カラスは神聖かつ不吉な存在?

忌み嫌われることの多い鳥類といえば、カラスを真っ先に思い浮かべる人は多いだろう。動物の中でも非常に知能が高いものの一種として知られるカラスは、ゴミを荒らすといった行動やその黒々とした体色などから汚らわしい、あるいは不吉な存在として認知されることが多い。

「カラスが鳴くと人が死ぬ」という俗信は、そうしたカラスに対するイメージの象徴的なものと言えるだろう。カラスと死者の結びつきというと、墓参りに供物を持って訪れた時、その供物にある食べ物を狙ってカラスが集まってくるといった情景を思い浮かべる人も多いかもしれない。墓所とカラスの関係は、こうしたことからもイメージがつながりやすい。

また、かつては死者が出ると死体を遺棄していたという時代もあった。京都において鳥葬があったことはよく知られており、こうした死体を多く遺棄した場所に肉食の獣や雑食のカラスが寄り付くのだ。そうしてみてみると、カラスと死者のイメージは非常に古くからあることがわかる。

また、先にも言った通りカラスは知能の高い動物の一つとしてチンパンジーやアライグマなどと並んで名前のあがることが多い。そもそも、神話においては神武東征において三本足のカラス「八咫烏」が登場していることから、カラスに神聖さや畏怖の念が抱かれていたことは確かである。

鎌倉時代の説話集である『古今著聞集』には、柳の木に巣を作っていたカラスが切り倒されることを予知して巣を移したというような話も収録されているという。こうしたことからも、カラスは何かしらの特殊な能力を持っているのではないかという一種の信仰が、古くから抱かれていたことがわかる。

厳島神社などでは、カラスに神饌を食べさせて、その食べ方で一年の吉凶を占うという「烏勧請」と呼ばれる神事が行われている。その他正月の神事において、三種類の種籾を置き、カラスが最初に啄んだものをその年に植え付けるというものも民間では行なわれていたと言われている。

先の墓所でのケースにおいても、火葬や土葬の際にカラスへ団子を与えた事例が一部地域であったというのだが、この時にカラスが団子に口を付けなかった際は、再び死者が出ると恐れられていた地域もあったのだとか。

こうした神話の時代より見られた神聖的なイメージと、死体の傍や墓所によく現れるという習性が混在したことで、カラスは死者が出ることを察知することができる、すなわち「カラスが鳴くと人が死ぬ」という俗信に形成されていったのだと言えるだろう。

因みに、カラス鳴きの俗信はその派生も多く、「鳴き方がいつもと違うと死人が出る」「誰かが事故や病気になる」「鳴いている方角の人が死ぬ」「大地震が起こる」といったものもある。

【参考記事・文献】
黒塚信一郎『茶柱が立つと縁起がいい』

カラスが鳴くと不吉は迷信?地震や悪い知らせの前兆についても調査
https://pinspo.com/10034.html
カラスが鳴くと人が死ぬ 日本に伝わる迷信の意味
https://wajikan.com/note/karasu/

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【文 黒蠍けいすけ】

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