秋山真之(さねゆき)は、愛媛県松山市の下級武士の家に生まれた明治時代の海軍参謀である。第一艦隊の作戦参謀となった際は、寡黙の提督と称された東郷平八郎から「智謀湧くが如し」と評されるほどの信頼を受けていたと言われており、1904年の日露戦争勃発においては、作戦立案などによって大きな戦果をあげた。
彼の最大の偉業と言われているのは、日露戦争におけるロシア・バルチック艦隊の殲滅であろう。
バルチック艦隊と言えば、当時のロシア帝国が編成した第二・第三太平洋艦隊のことであり、旅順の太平洋艦隊への増援として極東へ派遣された艦隊だ。日本側としては、このロシア艦隊に対して完全勝利をしなければ日露戦争に勝ち筋は無かったとされるが、この時にその勝利へと導く作戦を作り上げたのは何を隠そう真之であった。日本海海戦においては、七段構えの作戦の立案のほか、丁字戦法などといった彼の立案した作戦が採用され、見事にバルチック艦隊壊滅へと追いやることに成功。
まさしく天才を称するに相応しい能力を発揮した真之であるが、実は先のバルチック艦隊に対して彼は奇妙な体験をしていたという逸話が残っている。それは、ロシアの艦隊の航路を夢で予知していたという信じられないようなものであったという。
この逸話は、元海軍機関学校の教官でもあり、かつ日本心霊主義運動の父と称される浅野和三郎が、日露戦争後の1916年ごろに直接本人から聞き取った話である。
日露戦争が開始すると、日本海軍は遼東半島の旅順港を封鎖し「旅順港閉塞作戦」を実施した。一方、この時ネックとなっていたのがウラジオ艦隊の動きであった。だが、日本海はたびたび濃霧に覆われていたことでウラジオ艦隊は神出鬼没のような形で日本海を荒らし回っており、上村彦之丞率いる第二艦隊は撃滅できない状態にあった。
当時、東郷率いる戦艦「三笠」には無線電信によってウラジオ艦隊の情報が報告され続けるものの、東郷の艦隊は旅順を離れることができずにいた。このような状況下で、ウラジオ艦隊がどのような航路を取るかが撃滅の鍵となっていたが、さしもの秋山もどうすれば良いのかわからないままであった。
ある日、秋山が疲れからまどろんでいると目を閉じているにも関わらず目の前が明るくなった。その目の前には、日本の東海岸の全景が映し出されており津軽海峡が展開されていた。秋山が注意深く見てみると、津軽海峡に向かって北へ進むウラジオ艦隊の3つの艦影が見えてきたのだ。「東海岸を回って津軽へ抜ける」そのように直感した途端に視界が一斉に消え去り、そうして秋山は目覚めたという。
これは霊夢に違いないと考えた秋山であるが、これをそのまま公開しては嘲笑を免れないと判断し、なんとか「確信を持てる推測」と理屈付けて説明をしたという。
この霊夢は結果として的中することとなったのだが、この意見は上村のもとに無電で通達されたものの、「ウラジオ艦隊が伊豆半島沖に出現し、東京湾付近へ急行せよ」との大本営命令を受けて九州を南下し太平洋へ向かう途中だった上村は、迷った末に東京湾へ向かっていた。このため、津軽海峡を抜けるウラジオ艦隊を取り逃がす結果となってしまった。
だが、その翌年に再び奇妙な体験を秋山はすることとなる。この頃、バルチック艦隊がルソン海峡にあったという5月19日の情報を最後に数日も情報が入ってこない状態であり、この時も秋山は疲労で士官室で横たわってしまった。
すると、かつてと同じような感覚が起り、そこには対馬海峡が広がり、バルチック艦隊が二列になってやってくる様子が見えたのだという。目を覚ました秋山は、一度目の体験もあったことからこの霊夢に確信を持ち、即座に計画を立てたという。
その結果、27日に信濃丸からの無電で「敵艦見ゆ」との一報があり、バルチック艦隊が対馬海峡を抜けることが見事に的中した。ただちに連合艦隊は出航を始め、この時の三笠よりかの有名な「本日晴朗なれども波高し」が大本営へ打電されたという。三笠から視認したその光景は、秋山がまさに霊夢で見た光景そのままであった。そして、結果は、見事連合艦隊が勝利を獲得した。
この2回目の話には一点興味深いことがあるという。『極秘明治三十七八年海戦史』によると、当初、連合艦隊では津軽海峡通過説が強く支持されており、実は秋山自身もそのうちの一人であった。だが、ある日、三笠において各司令官や参謀による軍議が開かれた際、第二艦隊参謀長の藤井較一、第二戦隊司令官の島村速雄が北進反対の意見を表したのだという。
秋山は、自身の戦術が正しいと考えればたとえ相手が上官であろうとも遠慮なく反論するような人物であったというが、この時の藤井達の意見は省みられなかったと言われている。つまり、この時に彼は自信と全く正反対の北進反対説については一切反論を展開していなかったと考えられる。
彼が北進反対説を否定しなかった、あるいはできなかった理由こそが、予想だにしなかった「対馬海峡」説を後押しした証拠なのではないだろうか。
【参考記事・文献】
秋山真之
https://dic.pixiv.net/a/%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E7%9C%9F%E4%B9%8B
【秋山真之】1905年ロシア最強のバルチック艦隊を「透視」して壊滅に導いた異能の天才参謀【日本で本当にあった奇妙な話】
https://x.gd/XDNdF
上村彦之丞~無能と揶揄された提督の逆襲
https://rekishikaido.php.co.jp/detail/5625
【年表付】秋山真之とはどんな人?名言や功績、死因や墓など生涯まとめ
https://rekisiru.com/3338
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【文 黒蠍けいすけ】
画像 ウィキペディアより引用