【人怖話】「ネットより現場を見ろ!」勘違い相談員がある意味怖い

投稿 タマリンさん

こんにちは、本当にATLASラジオ、いいですね。落語と一緒で、良いエンターテイメントって、何度聞いても楽しめます。

私はぬらりひょんの回と八尺様に土下座の回がもうおかしくておかしくて、落語テープの代わりにBGMにすることがあります。ATLASラジオでお話ししてくださる方たちは皆さん、陽気でお話しも上手でいらっしゃいますね。そして山口先生の解説やツッコミが秀逸なことは言うまでもありません。私も「もののけ」に出会ったら見逃してもらうために土下座をする覚悟はできています!

本日もちょっと変わった人のお話をします。私も直接知っている人、もちろん実話です。その方は田中さん(仮名)という70代の男性で、元々教員としてずっと勤め上げられて来た方です。定年後は地元の中学で、ボランティア相談員として仕事を続けておられます。

田中さんは教育に関しては知識も経験も豊富で、しかも世界情勢や社会問題にもよく通じているということで、よく薀蓄(うんちく)を傾けては回りに聞かせるという存在です。母親たちからすると、子どもの問題行動や情緒不安定の相談をする相手として、とても頼もしく映るようでした。




事実、田中さんには子育てに関して一家言持っており、インターネットより書籍や新聞に重きを置く人でした。田中さんの信念に対し、ネットの知識で対抗してくる輩には「ネットなんか信じちゃいけない」「現場を見ろ」とまくし立て、「自分は目の前の事実を見ている」「自分は常に信頼できる情報を集めている」と教員や保護者たちに言っていました。

ある日、中学3年の山本君(仮名)という男子の母親が相談に来ました。最近山本君の様子が変だ、神経質になっている、帰宅すると自分の部屋のカーテンを閉めて、外の視線が気になると言うようになった。学校の行き帰りが怖くて登校したくないと言う・・・そんな相談内容でした。

田中さんは「それは親に心配させて休もうという単純な作戦でしょう。最初に物分かり良く休ませてそのまま味をしめてダラダラ不登校になるという例は良くあるから、最初が肝心、厳しく対応した方がいい」という助言をしました。

数日後、山本君の母からまた電話があり、今度は山本君本人が「下校時にあとをつけられた」「うちの玄関までついてきた」「殺してやるという声が耳元で聞こえた」と言います。その日母親は、山本君が自宅に入ってくるのを見ていたけれど人影は見えなかった、とも話していました。

それに対し田中さんは「嘘を言って親の気を引こうとしている。居もしない人を作り上げるなどもってのほかだ」と言って、父親にも協力してもらって学校には行かせるように強く言うこと、と助言したそうです。

さらに数日経って、再度、山本君の母親が田中さんの所に相談に来ました。

「経験豊富な先生に申し上げるのは気がひけるのですが」と前振りをしてから「ネットでは子どもが不安定な時は、先ず子どもの話を良く聞いてあげること、安心させてあげること、必要ならゆっくり休ませてあげること、という専門家が多いのですが・・・」

母親が言うとすかさず田中さんは、「ネットなんか信じちゃダメだ!」と、大声で恫喝しました。静止してすくむ母親にさらにかぶせるように「あなた、何でもネットネットって、ダメでしょう、現実は目の前なんだよ。愛情はあるの? 本当に子どものことを思ったら、今甘やかしてラクしかできない子に育てる怖さがわかるでしょ? 引きずってでも学校に行かせなさい!」そう厳しい声を放ちました。




そして言うだけで言うと、ニカっと大きな笑顔を作り「大丈夫、お母さん、子どもはわかりますって」と続け、「ワハハ」と笑いました。

山本君のお母さんは息子の状況を思うととても笑う気になれませんでしたが、ここは何としても頑張らねば、という悲壮な気持ちで帰りました。

しかし山本君の具合はどんどん悪くなり、部屋の窓に目張りをし、布団をかぶって震えるようになり、ついに一週間入浴せず、布団にくるまって「何者かが死ねと責める」と泣くわが子の姿を見て、どうにも思い余った両親が病院に連れて行くと、統合失調症の診断がつきました。昔は精神分裂病と呼ばれていた病気です。早期発見、早期対応が大切で、早めに本人の状況を理解して環境を整え、服薬をすると症状もまず安定するのですが、山本君の場合は無理をさせすぎたせいで予後が悪いとのことで、すぐに入院治療となりました。

その後、山本君のお母さんは入院騒ぎでもう相談どころではなくなったそうですが、校長先生が田中さんに、その後の山本君の様子が伝え聞かされました。山本君の入院の経緯を聞いた田中さんは、なにひとつ曇りのない驚きの表情になり、ほお、と口の形だけの反応をすると、心からとしか思えない口調で「それは親御さんは大変だ」としみじみ呟いたそうです。

山本さんの母親に厳しい対応をしろと煽りまくっていた田中さんを知っている校長は、なんの悪びれる様子もない田中さんをただ見つめるしかなかったそうです。

田中さんはそれから2年、自信満々で相談員を続けた後、満足げに引退されたと言う事です。いろいろやらかしましたが本人の自覚もお咎めも一切なしです! 田舎の相談員ってそういう人がたくさんいます。

(山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©写真素材足成


 

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