これは筆者の高校時代の同級生Tくんが体験した奇妙な話である。
Tくんが中学生の頃、通っていた塾で自然の家的な施設に宿泊勉強会に行った。 夜になり肝だめしをしようということになり、何チームかに分かれた。
Tくんも数名の仲間と一緒にチームを作り、山道の肝だめしコースを回ってみたが肝だめしの途中で無気味なものを目撃した。
「おい、あれはなんだ!」
空中に透明な道があるかのごとく、一人の老婆がよろよろとーーー虚空を歩いているのだ。老婆はひどく腰が曲がっているが、どこにでもいそうな外見である。
「おい、あのおばあさんが見えるか」
横にいた友人たちに確認したが誰の目にも見えたという。
(あれはいったいなんだったんだろうか)
不思議に思いながら、肝だめしコースを廻り終わり、宿舎に帰ってくると引率の塾の先生が肝だめしを一緒に廻った友人に向かってこう言った。
「君のおばあさんが亡くなった。早く家に帰ろう」
Tくんは先程目撃した老婆は、亡くなったおばあさんの霊だったのではないかと思ったという。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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