風狸とも言う。狸ほどの大きさで青い毛に覆われ、豹に似た姿をしているとされている。
非常に生命力が強く、刃物で切りつけたり突き刺したりしても簡単には死なず、燃やそうとしても毛の一本も焼けない。
金槌などで頭を数千回も殴ってやっとしとめることが出来るが、口や鼻から風が入るとすぐに生き返ってしまうとされていた。
まるで不死身ともいえる風生獣だが、唯一この生物の息の根を止めることのできる植物が存在する。岩石から生えた『菖蒲』という植物で、この草で風生獣の鼻をふさぐと風を得ることが出来ずすぐ死んでしまうとされている。
中国ではこの風生獣の脳みそを菊の花と混ぜて食べると500歳まで生きることができると言われ、縁起のよい生き物だと考えられていた。
この中国からの伝説が日本に伝わって、日本でも妖怪の一種として信じられるようになった。江戸時代の絵師鳥山石燕が著書の『今昔百鬼拾遺』にて紹介しているが、同時代の百科事典『和漢三才図会』では「日本には生息していない」との記述がある。
(山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)