翁島ペンションは、福島県耶麻(やま)郡猪苗代(いなわしろ)町に存在する廃墟である。
三角屋根の棟が二つ並ぶ海外の童話に登場するようなデザインとしている建造物であるが、長年にわたり積雪の重みなどの影響によって崩壊が進んでいる。
通称「幽霊ペンション」と呼ばれており、稲川淳二の『恐怖の現場』シリーズでも紹介された心霊スポットとして知られている。また、お馴染み、宜保愛子が立ち入りを拒否した心霊スポットの一つとしても挙げられており、東北最恐との触れ込みがなされることもあるようだ。
建物の完成および廃墟となった年の正確なことは不明な点が多い。1970年代後半の空中写真では整地のみが済んだ状態であることが確認されていることから、この時期に建設されたものだと考えられている。
翁島ペンションで語られる噂は、「母親が発狂し子供を殺害するという一家心中もしくは一家惨殺事件があった」「ペンションのオーナーが首吊り自殺をした」というものが有名である。この噂は、前述した『恐怖の現場』にて稲川淳二が紹介した話とほぼ同じものであるため、彼の話を元にしたものである可能性もある。
このほか、「近辺の森を歩いているとオーナーの幽霊にペンションへ導かれる」「母親の霊が2階の窓から訪れた者を見つめる」「窓ガラスに子どもの手形がべったりを埋め尽くされる」といった噂が囁かれているそうだ。
一家惨殺・一家心中とあるが、実のところ翁島ペンションは個人所有の別荘ではなく「宿泊所(商用施設)」であることが役所の登録などで明らかになっている。そのため、個人所有でないことは明らかであり、この噂は、ペンションという言葉が独り歩きしたことによるイメージで生み出されたものだろうと思われる。
また、オーナーの自殺という話については、「地下のワインセラー」「暖炉の前」など様々に言われているが、とある有志の調査によって、このペンションの元オーナーは2010年時点で存命であることが確認されている。
さらに、「猪苗代湖の幽霊たちが溜まりに来る」といった噂もあるようだが、猪苗代湖には実際に翁島という小島が存在しているものの、実はペンションが存在する場所はそこではない上、ペンションの建つ場所からは猪苗代湖すら見えない。
実のところ、翁島ペンションはもともとこのあたり一帯をリゾート化しようという計画の下、計9棟建てられるはずだった施設のうちの1つであったとのことだ。しかしながら、充分な予算が確保できないままに計画自体が頓挫してしまい、結局翁島ペンションのみが建てられるに至ったということである。
東北最恐の心霊スポットと呼ばれた場所は、叶えられなかった夢の跡地であったようだ。
【参考記事・文献】
#003 翁島ペンション
https://www.sugolog.jp/2010/01/003-okinashima.html
翁島ペンション(幽霊ペンション) – 福島県の心霊スポット
https://ghostmap.jp/spotdetail.php?spotcd=222
福島県 翁島ペンション
https://shinrei-spot.info/?p=371
宜保愛子が行った心霊スポットで一番恐ろしいところはどこ?
https://poltergeist.jp/aiko-tsubo-went/#index_id2
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【文 黒蠍けいすけ】