スピリチュアル

「真夏の怪談二話」

■ ご案内

Sさんはイベント関連の会社を経営する岐阜県に住んでいる筆者の友人です。 彼は学生時代、友人たちと不可解な体験をしました。

「あの体験は思い出したくないですね」そう言いながら不思議な体験を話してくれました。

岐阜市の某高校の近くにとある公園があるのですが、かつてその一角に古びた小屋がありました。実はこの建物には、不気味な伝説が語られていたのです。

うわさによると、戦争中に軍が捕虜を処刑していた場所であり、行くと呪われると言われていました。

ある夜、仲間数人とその小屋に探検に行くことになりました。ですが、いざ現地についてみると、異様な空気がただよっており、Sさんは警戒して小屋の中には入らなかったのです。

不良っぽい友人は強がって「なんだ。みんな怖がりだな。俺は怖くねえよ」と言いながら入っていきました。

最初は 「おおっ、トイレがあるぞ」「落書きもあるぜ」など声が聞こえていましたが、しだいに声が聞こえなくなりました。

(何かあったのか?あいつ、やばいのか、助けないといけないかな)

そんな風にSさんが思い始めた頃、異常に低いテンションで友人が出てきました。 よく見ると左右の目玉がそれぞれ違う方向を向いています。

「おい、いったい、何を見たんだ」

Sさんの呼びかけに答えようとせず不良っぽい友人は 「あの小屋には入らないほうがいいぞ、あの小屋には入らないほうがいいぞ」とくりかえすばかりです。

その後 社会人になったばかりの頃、またしてもこの小屋の話になりました。

「今から行こう」ということになり、友人3名を連れて小屋のある公園に向かった。 車が公園に着くと一人が急に怖がって「俺は行かないぞ、俺は行かないぞ」と言いだしたので、車に残し3名で小屋に向かうことになりました。

すると突き進む3名の前に黒猫が現れました。

もの凄く人懐っこい子猫でしたが、どうやら3名を廃屋の方に誘導しようとしているように見えます。

「気味が悪いなぁ、霊か何かに操られているみたいだ」
「この猫、あの小屋にさそっているみたいだね」

怖くなったSさんと友人は子猫が降りられないぐらい高い木の枝に放置しました。

「ごめんな、小屋の探検が終わるまで、ここでおとなしくしてくれ」
「かわいそうだが仕方ない」

そして再び3名は小屋に向かって歩き始めましたが、目の前にまた子猫が出現しました。

「どうやって降りたんだ」
「先回りが出来るわけないし」

このS君さんの頭に学生時代の友人の言葉がよみがえりました。

「あの小屋には入らないほうがいいぞ、あの小屋には入らないほうがいいぞ」

あまりに怖かったので小屋の探検は止めにしたそうです。

■ 妖怪・四つ目入道と緑色の人間

JAさんは 青梅に住む女子高生です。どうやら、彼女には霊感があるらしく 時々”奇妙なモノ”を目撃しています。

ある日 一人でお風呂に入っていると、奇妙な物体が浴室に入ってきました。坊主頭でごつごつした中年のおじさんの頭でした。しかも、半透明なんです。

(えっ)

驚いたJAさんはその頭部を観察しました。すると左右縦に二個づつ目玉があるのがわかりました。

(目玉が四つもある)

びっくりしたJAさんがさらに細かく観察していると、そのおじさんの頭は

(おまえ、俺の姿が見えてんの?)

と言わんばかりに、じろりと睨み返すとのまま壁を通過し外へ出て行ってしまいました。

JAさんのお兄さんも子どもの頃、”奇妙なモノ”を目撃しています。自宅の近くに天ケ瀬淵という多摩川の淵があるのですが、ここで妖怪のようなものを見ているのです。

地元の高校の水練にも使用されていた淵なんですが、流れの関係でしょうか上流で溺死した遺体はこの淵に流れつくことが多かったようです。

ある日の事、駐車場にてお兄さん、お母さんと車から降りたところ、淵から全身緑色の人間の形をしたモノが浮かび上がってきました。

(なんだ、あれは)

淵をみおろすと、緑色のモノが水 面を漂っています。

「ふわん、ふわん」水に漂う緑色のモノ。確かに人間のような形をしていますが、緑色をしているのです。

「ぁぁぁああああ、空中に浮き上がった」

お兄さんは思わず声をあげてしまいました。

その緑色の人間は全身の力を抜いたような姿勢でそのまま空中に浮き上がりました。

「わわわわ、上まであがってくる」

そいつはまるで風船のように空に舞い上がると、ふわふわ飛ぶように崖を登ってきます。

「お母さん、緑色の奴がくるよ」
「なんなの? お母さんには見えないわ」
「ほら、あそこ、川から浮き上がってくるよ」

その緑色の人間はふわふわと飛びながら、駐車場の近くまで接近してきました。

「早く、早く、お母さん家に逃げよう」

怖くなったお兄さんはお母さんをせかして自宅に逃げ込みました。今になってさんが回想してみると、やや黒かったような印象もあるといいます。

あの緑色の人間はいったい何者だったのでしょうか。

不思議なことなんですが、この話を僕にしてくれた日の夜、彼ら兄妹の家のドアを何者かがはげしくノックしたそうです。

「ドンドン、ドンドン、ドンドンドン」

緑色の人間が警告に来たのでしょうか。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 Nさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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