※下記は2020年5月の読者投稿です。
山口先生、愛夢さま、おばんでございます。マレーシア在住のたろです。
今日は不思議体験2を書きます。
冬に両親と流氷見物をかねて知床へ行ったときの話です。知床の温泉ホテルに宿泊しました。冬は閑散期なのでしょう、私たち3人の部屋も最上階の和洋室で、窓も大きく、眼下に、流氷が接岸した海が一望できる、とても素敵な部屋に案内されました。
食事も温泉も満足のいくもので両親も気に入ってくれました。不思議な体験をしたのは布団に入ってからです。
父は早々に寝てしまい、母もいつもは寝付きが悪く夜中の2時ぐらいまで起きているのに、その日は早く寝てしまいました。そうは言っても、母はちょっとした物音で起きるので私も起こしては悪いなと思い、大人しく寝ることにしました。
両親は部屋の中央のベットで眠り、私は隣の部屋に面した壁際に敷かれた布団に入りました。しばらくすると、隣の部屋から、ドン、ダダダダダーッ、ダダダダダッーと大きな物音が聞こえます。
その音を聞いて想像するに、子供がベットから勢いよくジャンプして着地。そして一目散に前に走り、その部屋の入り口ドアの近くまで走ったら、またベットに戻ってくるという感じです。
『かなり大きな響く音で威勢がいい子供だなぁ、旅行で興奮して眠れないのかな』と時計を確認すると23時ころだったと思います。
そのうちやめるだろうと思っていたのですが、一向に止まりません。
ドン、ダダダダダーッ、ダダダダダーッ。
あまりにうるさいのでフロントに言って注意してもらおうと思いましたが、折角の温泉旅行に水を指しては悪いなと考え、まずは0時までは我慢しようと思いました。
私はその時なぜか体が熱くて、その上うるさいので全く寝られる状況ではありませんでした。気になっていたのはちょっとした物音でも、目が覚める母が起きてしまわないか心配でした。
0時が近づくにつれ、もう1つ音が加わりました。隣の部屋の床に、何か太い棒が突き上げるような、何か重たい石でも落としたようなそれはそれは大きな音で、私の体にも響いてきます。この二種類の音が不規則に聞こえるのです。
私はフロントに言うにしても、もしかしたら隣の部屋の音ではなくて下の階の部屋の音かもしれない。間違えがあってはいけないので確かめようと、まずはそーっと部屋を出て、隣の部屋のドアに近づきました。あれだけ大きな音で、ドアめがけて走っているのだから、ドアに近づけば音が聞こえるだろうと思ったのです。
しかし廊下も隣の部屋もしんとしています。部屋も廊下も全くの無音です。
『やめたかな?』と思い、自分の部屋に戻り、布団に入ると、ドン、ダダダダダーッ、ダダダダダーッと大きな音がします。
なのでもう一度、自分の部屋を出て隣の部屋のドアの前に近づきます。やはりシーンとしているのです。それは夜特有の静けさです。
その時、隣の人に会った事を思い出しました。大浴場へ行くときだったか、部屋から出てくるお二人に会いました。落ち着いた中年のご夫婦でお子さん連れではなかったなーと。そして自分の部屋に戻り考えます。
『あのご夫婦が運動でもしているのか??でも、ダダダダダーの音は子供の小幅だよな。どうなっているんだ???大人がベットから飛び降りるような事を何回もするものだろうか??』
0時も過ぎ、あとは下の階を確かめてフロントに言おうと決心し、夜中にホテル内を移動するのは怖かったけれど、部屋を出て隣の無音をもう一度確認し、エレベーターに乗りました。
下の階に着いてエレベーターのドアが開きました。開いてびっくり、そこはなんと真っ暗です。電気がついていません。
『ああ、この階は今日はお客さんが誰も泊まっていないんだ』
そう思って、また自分の最上階の部屋に戻ります。自分の部屋に入る前に隣の部屋の音も確認しましたがやはりシーンとしています。そして両親は私が何度も部屋を出たり入ったりしているのにぐっすり寝返りも打たず寝ています。
私は『これは座敷わらしかもしれない』とその時思いました。
フロントに言うのを諦め、布団の中で、さっきよりも更に大きく響く音をしばらくの間聞きながら、それでもそのうち寝てしまいました。
次の朝、母にその事を言うと、『夜の音の前に既にイタズラされていたんじゃない?』と言いました。
私たちが部屋に案内される途中に、館内電話があり、その受話器が〈話中かな?〉と思うくらい思いっきり外れていて、あれッと思った私はその受話器を手に取り「もしもし」と言ってみました。
返事はなくそのまま受話器を置いたのですが、母曰く、それが座敷わらしのイタズラだったのでは?とのことでした。母は自分が体験していないので他人事です。父はこの手の話は全く相手にしてくれないのでコメントなしです。
この体験はこれで終わりです。これを今回書くにあたり、何年前だったか確認すると、6年前の2月でした。
今、あらためて振り返ると、その年、私は契約社員から正社員になり、両親との旅行も道内旅行はもちろん、伊勢参り、名古屋城、河口湖、東京の名所巡り、奈良の大仏、東北の桜巡り、沖縄の島巡り、と数多く行けました。
あの物音の次の年、父の希望でもう一度知床の同じホテルに、今度は普通の和室に宿泊しました。その時は何も起こらなかったです。
事前に知らなかったのですが、その日は知床世界遺産十周年の記念日で、素晴らしく天気が良くそれもよい思い出になりました。あの物音を聞いてから私の生活も大きく変わったと思います。なんと言ってもいまはマレーシアに住んでおりますので。
それではまたメールします。お読みいただきありがとうございました。
たろより
(アトラスラジオ・リスナー投稿 たろさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 てってこ / photoAC