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2%の人間にしか聞こえない謎の怪音「ザ・ハム」の正体とは

2023年10月、北アイルランドのとある町で何週間にも渡って鳴り響く謎の騒音が住民たちを苦しめていた。夜間の数時間に渡って鳴り続けるブーンという羽音のような不快な音は、その発生源が確認できず「ミステリーハム」と呼ばれ追究がされた。

こうした、謎の異音はこれまでも世界各国で報告がなされているが、中にはわずか2%の人間にしか聞こえないといわれる謎のノイズ音が存在していると言われている。

「ザ・ハム」と呼ばれるこのノイズは、明確な出典などが定かではないが、1970年ごろにイングランドのブリストルで初めて報告されたと言われている。この報告が知られて以来、この謎のノイズが聞こえるという証言は世界中に広がり、人々を精神的に苦しめているという。

ザ・ハムは世界各地で報告されているが、イングランドをはじめアメリカ各州やカナダといった各地によって「ブリストル・ハム」「タオス・ハム」「ウィンザー・ハム」などと呼ばれている。ザ・ハムはその総称だ。

ザ・ハムの特徴は、室内にいるとき、また夜間の方が聞こえやすいのだという。当然ながら、騒音に包まれるような都市よりも静かな場所での報告が多いようだ。聞こえるという人は55歳から70歳までの中高年が多く、たまに聞こえる人もいればほぼ毎日聞こえる人もいるなどさまざまだ。

大音量で聞こえるということで変調をきたす人もおり、中には自殺を図った例の報告などもあるという。

こうしたザ・ハムの正体について、最も有力とされる説は「機械設備」が原因とするものだ。実際にこれまで、ウェスト・シアトルでの例は、付近にある生コンクリート製造会社のバキュームポンプの音であったこと、ニュージーランド・ウェリントンでの例は、付近に停泊していた船舶のディーゼル発電機の音であったことが判明しているという。




ザ・ハムはディーゼルエンジンのような音であるとの報告が多いことから、多くの例はこうした機械音が原因となっている可能性は高いだろう。

ただし、当然ながらそうした要因が確認できない例も当然ながらあり、その場合はまた異なった発生源が考えられる。

また、単なる耳鳴りであるとするものや、「自発自響放射」(SOAEs)という外部刺激なしで耳から放射された音ではないかというものもある。SOAEsは聴覚異常を持たない38%~60%の人間に見られるものであり、充分に可能性として考えうる原因であろう。

この他にも、アンコウ類の魚のオスがメスに対して繁殖期に求愛する鳴き声ではないかとする、魚の鳴き声説という変わった仮説もあげられている。カリフォルニア州などいくつかの場所で確認されたザ・ハムに対して、実際に研究者が魚の鳴き声であると主張したケースが見られる。

ザ・ハムは山間部やアンコウの繁殖期以外でも報告される事例があるため、この説はきわめて地域的な独自のものなのであろう。

ザ・ハムは、その謎めいた現象から「軍の巨大地下施設」「UFOやエイリアン」の影響と考える人も一部にはいるようだ。ザ・ハムが報告された地域の一つにロズウェル事件で知られるニューメキシコ州もあることから、このような推測になるのも必然かもしれない。

しかし、実際はきわめて単純な原因によってもたらされたものである可能性も、前述の例から考えられるのだ。なにより、安易に決めつけてはエイリアン側も迷惑であろう。

読者の中にも、ふとした時に謎のノイズ音が鳴り響いていたという経験のある人はいるだろうか?

【参考記事・文献】
2%の人間にしか聞こえない不可解なノイズ「ザ・ハム」とは?
https://x.gd/nhWGG
Maddening Mystery Hum Torments Town in Northern Ireland
https://www.coasttocoastam.com/article/maddening-mystery-hum-torments-town-in-northern-ireland/
住民の2%しか聴こえない! 世界各地で鳴り響く謎の音「ザ・ハム」とは?
https://tocana.jp/2016/02/post_8815_entry.html

(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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