画像『新宿烏』
『漂流教室』『まことちゃん』など、ホラー、SF、ギャグといった幅広い作品を世に送り出し、現在タレントとしても活躍する漫画界の巨匠、楳図かずお。トレードマークである赤と白のボーダーシャツが一際印象に残る楳図は、1955年のデビュー当初は「恐怖漫画」を数多く執筆していたことや、その特殊な風貌も相まってか、存在自体が都市伝説とまで言われるほどである。
前述の通り、彼は赤と白のボーダーを好んでおり、それは自宅の外壁にまで及んだ。改装により、蛍光色の赤白で塗られることとなったその外壁は、近隣住民によって「景観を損ねる」という理由からクレームが起こった。訴訟問題にもなったが、結果としてこれは棄却されることとなったという。
これにより騒動は沈静化したものの、彼が改装に伴ってボーダーに塗装したのには、実はある事情が関係していると言われている。
ある日、当時恐怖漫画を執筆していた楳図の家に一人の女性が訪ねて来た。その女性が、楳図に突然「もう私のことを書くのをやめてください」と言い放ったという(楳図自身が実際に漫画で描いた化物の姿をしていた、と噂される場合もある)。この体験が恐ろしかったために、楳図は外壁を派手にすることでそうした存在を引き寄せないようにしたと言われている。また、この恐怖体験によって恐怖漫画の執筆もやめてしまい、『まことちゃん』のようなギャグマンガの執筆に転向したとも言われている。
楳図のこの赤白ボーダーは、そもそも手塚治虫の『新宝島』に登場する海賊衣装に影響を受けたものであるという。だが、一部ではこの赤白ボーダーのせいか、さらに珍妙な噂が囁かれているようだ。
1987年にイギリスで出版されシリーズ化された絵本『ウォーリーを探せ!』。見開きの背景で膨大に描かれた人込みの中からキャラクターのウォーリーを探すという有名な絵本であるが、このウォーリーには逃亡している殺人犯であるとの都市伝説が存在している。その都市伝説においては、ウォーリーの着ている赤白ボーダーの服や帽子は、当時イギリスの精神病院に収容されていた囚人が着用させられていたものであるという。
もうおわかりだろうが、この赤白ボーダーの衣装という共通点から、このウォーリーと楳図には何か関係があるのではないかという噂が一部ではあるという。一説には、楳図が原稿の〆切に間に合わず逃げ回っているというのが、元になっているという話もあるようだ。
しかしながら、実際にウォーリーを探せ!を思わせるような楳図の都市伝説も存在している。普段から赤白ボーダーのシャツを着ているという楳図であるが、ごくまれに青白ボーダーを着用していることがあり、その姿の楳図を見ると幸運が訪れるという。色違いというのが、格闘ゲームなどに見られるような設定っぽくも思えるが、いかにもボーダーというシンボルを持つ彼らしい都市伝説であるとも言える。
かつて西洋において、ボーダーは悪のシンボルとされ忌み嫌われていたが、それが時代を経て、フランスの国旗に見られるような自由のシンボルとして変容することとなった。楳図かずおは、前述の恐怖体験のほか、心無い編集者からの発言による断筆なども経験している。ボーダーを好みそれに固執していったのは、そうしたことからの心理的な開放が込められているのかもしれない。
【参考記事・文献】
楳図かずおのレアな衣装を見るとハッピーになれる都市伝説
https://x.gd/1LClG
都市伝説vol.56【楳図かずおが体験した話】
https://ameblo.jp/mythyjack/entry-12538986651.html
ウォーリーをさがせ!
https://x.gd/XGKLe
(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)