フランスのとある町から盗まれた黄金の風見鶏をめぐるおよそ25年にも及んだ謎が、窃盗犯によって送り返されたことで解決された。
この奇妙な事件は1999年4月、フランス南西部にある人口5,500人ほどの町ベッサンの、カトリック教会の十字架から黄金の風見鶏が無くなっていたことに始まった。
この、風見鶏の奇妙な失踪をめぐる憶測は、歴史家のミシェル・サバトリーの研究の影響もあり大きく渦巻いた。この物語を存続させようとした彼の努力が報われたのは、昨年11月のこと。彼のもとに盗まれた風見鶏の入った思いがけない小包を受け取ったときだった。
この奇妙な小包の犯人は、風見鶏をどのような経緯で手に入れたのか、何年もの間どこにあったのかについての情報を一切記載していなかったが、警察は小包の郵送に使用されたクレジットカードを追跡することで、差出人の身元を特定することができた。
この事件を捜査している当局の訪問を受けた匿名の男は、どのようにしてそれを盗みだしたかを語った。自白した内容によれば、男は酒に酔ったパーティーの夜に勢いで風見鶏を盗んだものの、翌日になって自分のしたことがどんどん恐ろしくなってしまったという。そして彼は、盗んだ風見鶏を地下室にしまい込むことで、すべてを忘れてしまおうと考えたようだ。
この作戦はどうやらうまくいったようで、彼はその作品が自宅で埃をかぶっている間も生活を続けていたという。だが、四半世紀近く経ち40歳代後半になった彼が最近になって、地下室にそれがあるのを再発見した。すると、ぼんやりとあの日の夜の記憶が彼に押し寄せ、「返す時が来たのだ」と決心し、サバトリーに郵送することで悪行の償いをすることにしたという。
彼にとって幸いなことに、この事件の時効はとっくに過ぎていたため刑事告発を受けることはなかった。風見鶏については、当局はそう遠くない将来の式典で再設置する計画であるとした。市長は、「若気の至りかもしれない」と言い許すような思いを述べる一方で、村の遺産の一部であることを人々に思い出させると強調して述べた。
そして、その風見鶏が「2度と飛んでいかないようしっかり取り付けます」と約束した。
(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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