これは私が大学生の時の体験です。
私は夏休みで故郷に帰省し、幼馴染が私の家に遊びに来ておりました。時間は夜の9時前頃だったでしょうか。のどが渇いたので、近くのお店の自販機にジュースを買いに友達と二人で家を出ました。
町からそれほど遠くないのですが、通りの街頭の感覚は長く薄暗い感じでした。しかし外は涼しく、通りは車の往来も無く二人は道路の中央付近を並んで自宅か300メートルほど離れた自販機の灯りを目指して歩いておりました。
何か他愛も無い話をしながら歩いていたのでしょうか・・・記憶には残っておらず、すぐに自販機に到着し、コーラを買った記憶があります。
ジュースを買ってすぐに自宅への道のりを折り返しました。来た時と同様に車の往来も無く、二人はまた道路の中央付近を歩いていたのです。
私は帰りの道が続く道路の先を見ながら歩いていると、道路の右側から左側へ真っ黒な人が歩いて道路を横断し、フッと消えたのが見えたのです。
私は生まれて初めて自分の理解できないものを見てしまい訳が分からなくなり、そのまま無言で歩き続けました。
『今、見たのはいったい何だったんだろう』と頭の中で思考がグルグル回っている事を感じながら、ふと見ると真っ黒な人が来たところに通夜の提灯に灯がともっておりました。
『行くときには全く気が付かなかったのに』・・・そう思いながら無言で家まで歩き続けました。そして、家に帰ると自分の部屋へ入り、私は恐る恐る友人に聞いてみたのです。
「さっき歩いて帰った来た時に何かを見なかったか?」
次の瞬間、友人は素早く口を開き、その内容に私はさらに驚いてしまったのです!
友人が見た内容はジュースを買った帰りに、お通夜の家があってその玄関の屋根の上に真っ黒い人が座っていたというのです。その後、瞬間的に黒い人は座ったまま姿を消し、屋根の中央へ移動し座ったまま姿を現したのだそうです。
どうやら、屋根の上に座っていた黒い人は僕らが歩いてきたので屋根から降りて僕らの前を横切っていったという事だと感じます。
その黒い人はおそらく亡くなった方で、自分の存在を僕らに示したかったのだという事で僕と友人は納得しました。その時に体験した事に恐怖は感じませんでした。が、何かを見た時には人は無言になってしまうものなのだと思うのでした。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 元葬儀屋さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 シャンシャンPanda / photoAC