【仁田忠常】
仁田忠常が、鎌倉幕府の命令で地底に広がる地底王国の探検をする様子。
【仁田忠常と人穴探検】
仁田忠常は源頼家から厚く信頼されていた武将である。頼家が巻狩(まきがり)を行なうために富士山麓を訪れた際、そこで人穴を発見し、忠常に内部の探検を命じた。
部下数名を連れて人穴に入ると、その内部は踵を返すこともできないほど狭く、蝙蝠が飛び交い蛇が地を這っていた。洞窟奥には大河が広がり、向こう岸に見えた怪光によってたちまち4人の家来が急死したという。
なんとか翌日になって忠常と部下は脱出したが、彼の報告を聞いた頼家は、その人穴を天地以外の世界に違いないと考えたという。土地の古老によると、その人穴は浅間大菩薩の住まいであり、中を見てはいけないと古くから伝えられていた場所だったとのこと。
(写真:山口敏太郎事務所 所蔵)