世界各地で、空に大きな音で鳴り響く謎の怪音現象が報告されている。
2011年8月にウクライナのキエフ、カナダのブリティッシュ・コロンビア州テラスで撮影された映像によって広く知られることとなったその音は、吹奏楽器や重機や金属の擦れるような低い音であり、その発生原因については現在も解明には至っていないという。
この現象はスカイトランペット現象、他にはスカイクエイク現象やアポカリプティックサウンドなどと呼ばれている。その名称は、新約聖書の「ヨハネの黙示禄」にある終末神話、その中の「最後の審判が始まる時に、天使がラッパを吹き鳴らす」という記述に由来するという。
記述では、ラッパが鳴るたびに何らかの大きな災厄が起こっており、最後の7回目のラッパが鳴ると最後の審判を迎えることになっている。2011年以来、デンマーク、アメリカ、イギリス、インドネシアと言った数々の国、近年では日本でも報告がなされており、大災害の前兆ではないかとも言われているという。
このスカイトランペットの発生原因については、実のところ多くがフェイクであることが解っている。この怪音が発生している様子を捉えた映像はYouTubeに多く投稿されているが、それらの多くは風景映像に、(場合によっては)加工を施した音源を別で合成したものであると言われ、中には「ここまで有名になるとは思わなかった」と自白した投稿者もいたようである。
音源についても、『宇宙戦争』や『世界侵略:ロサンゼルス大決戦』といった映画のシーンにあるものが使用されており、複数の動画からも同様の音が確認されているという。初期における報告時期は、2012年のマヤ暦に由来する滅亡予言も取り沙汰されていたこともあって、それがスカイトランペットをより流行らせた原因であるとも考えられている。
それでは、このスカイトランペットそのものが創作であるのか。実は必ずしもそうとは言いきれないのだ。2023年10月には、北アイルランドの中央都市において数週間に渡って夜間に鳴り響く謎の異音が地方メディアでも取り上げられた。住民たちが睡眠不足に悩まされたというこの事件については、現在に至るまで原因が不明のようだが、この事例のように町中に鳴り響く謎の怪音については全てがフェイクとは言えないのだ。
過去、怪音についてはこれまでに、地下空洞の反響音、大気中の放電による電磁波、上空での隕石の爆発、遠方の工事の音がやまびこのように聞こえている、などの様々な仮説があがっている。それが終末や災厄の前触れを示すものであるかは定かではないが、少なくとも人々を不快と恐怖に陥れる現象であることは間違いない。
【参考記事・文献】
朝里樹『世界現代怪異事典』
アポカリプティックサウンドとは?由来や正体、世界の例を解説
https://zatsugaku-circle.com/apocalyptic-sounds/
Maddening Mystery Hum Torments Town in Northern Ireland
https://www.coasttocoastam.com/article/maddening-mystery-hum-torments-town-in-northern-ireland/
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(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 Auftraggeber: Otto III. oder Heinrich II. – Bamberger Apokalypse Folio 19 verso, Bamberg, Staatsbibliothek, MS A. II. 42, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=609014による