「劇場での不思議体験」「インターカムから女性の声が・・・」

香川の白狐です。

さて、私は18の頃から42年間舞台、映像関係の仕事に従事しておりました。その関係から様々な劇場で不可思議な現象を体験してきましたので何件かご紹介したいと思いメールさせて頂きます。

「劇場での不思議体験」

短い話としては、香川の大きな劇場で『稲川淳二さんのホラーナイト』のスタッフとしてスポットライト室に居た時の話です。

稲川さんとは以前、「ルックルックこんにちは」という日テレのロケで、映画評論家の水野春郎さんの故郷、岡山県の高梁市(タカハシ)を一日中同行しました。そのときには何も感じなかったのですが、ホラーナイト公演の際に舞台は古い民家のセットで稲川さんがお話をされるという公演でした。

照明のスタッフだった私は、稲川さんをスポットで追い掛ける係でした。

リハーサルを無事に終え、本番に入ってお話が始まった途端、リハーサルでは無かった光景が目に飛び込んで来ました。

舞台下手のセット中庭から巫女さんの衣装を着た10歳くらいの女の子がいきなり舞台に走り込んできて、セットの土間に座った稲川さんの周りを笑いながら走り廻り、やがてセットの中を自由気ままに走ってケラケラと声を立てていました。

驚いた私は、隣にいたもう一人の若い男のオペレーターに「こんな演出聞いてたっけ?」と聞きましたが、彼は私の言葉の意味が理解出来ないようでした。

それで、いま舞台で起きている事を中継するように説明し始めるとよっぽど怖がりだったと見え、機器を放り出し、つくばって震え出しました。

やがて巫女姿の少女は舞台袖に走り込み、二度と出ては来ませんでした。稲川さんには見えて居たのかどうか、少しも動じる事無く本番を終えました。

この話は、結局他のスタッフには話さずに僕の中で封印してしまいました。


「インターカムから女性の声が・・・」

次の話は、生霊の念の仕業だと思っている話ですが、九州の福岡の市民会館に勤務していた時の話です。

実名を出しては良くなかったかもしれませんが、ここの市民会館は目の前に競艇場が有り、私が居た頃35年前頃には朝出勤してくると敷地内で首を吊ったサラリーマン風の方が良く見かけられました。

劇場の敷地内にはあちらこちらに鉄骨が宙を張って居たり、外からは見えない箇所が沢山あります。競艇が開催される度に自殺者を目撃してしまう事が、私としては辛い現場でした。

ですので、沢山の霊の目撃情報も多かったのですが、劇場は死霊だけでなく、舞台で行われる催し物で様々な念が残されていく場所でもあります。

例えば、消灯した舞台に忘れ物を取りに戻った時など、真っ暗な舞台に足を踏み入れた瞬間、「わー!」と大歓声に迎えられる事も有り、また、舞台袖にカバーを掛けたままのピアノがいきなり演奏し始める事も有りました。ひどい時には、見えない群衆に進路を阻まれて一歩も歩けなくなる事も有ります。

もう一件のみ、これは生霊では有りませんが、何処の劇場でも良くある事です。

前述の市民会館での出来事ですが、1年に一度1週間ホールを借り切って毎日朝から夕方までピアノの発表会が延々続く催し物が有りました。

私の仕事は、1日50人近くの演奏曲に合わせて背景の白い幕に光で色を付ける事でした。舞台袖に一人、音響室に一人、私が照明室に一人の3名が張り付いていました。

長丁場の仕事中にうっかり寝てしまわない様に 私は沢山のマンガ本を持ち込んでいました。その際、何かの変更やトラブルに連携して対処する為、私たちはマイクの付いたインターカムを頭に装着しておりました。

いきなり初日からでしたが、そのインターカムから楽しそうな女性の笑い声が聞こえて来ました。

私は、てっきり音響係の男が彼女をこっそり部屋に入れているのだと思いました。インターカムで呼び掛けましたが返事は無く、舞台係も装着していないようでした。

私は、延々と聞こえる女性の声を聴きながらタイミングを計って少し離れた場所の音響室に飛び込みました。

ところが、そこには私と同じ様にマンガを読んでいる男が一人いるだけでした。

問い質しましたが、「そんな訳無いだろう」と一笑され、照明室に戻りましたが、その後も女性の声は常に聞こえ、何度も音響室に飛び込みました。

その日の昼食時、食堂で先輩に自分が聞いた女性の声について誰か知らないかと確認しましたが、誰も知らないとしか答えてくれませんでした。

それからの1週間、私はその声が何を誰に言って笑っているのかを聞き取ろうとマンガも読まずに聞き入って過ごしました。

もしかしたら混線しているだけかもと思っていましたので・・・。

しかし1週間後、舞台係の男が教えてくれた事実に愕然としてしまいました。そしてその事実を知らなかったのが私だけで、音響係の男も先輩達も知っていた事にもショックを受けました。

その時代、舞台関係の仕事は男だけで女性は居ませんでした。全国的にそうでしたが、九州の福岡ではある事件を切っ掛けに女性を雇わなくなったそうで、その事件が私の居た照明室で起きたということでした。

その事件とは、照明室のコンクリート壁に沿って埋め込まれた鉄梯子を上って客席の天井部に設置されたスポット器材の調整を行った或る業界初の女性が作業を終えて鉄梯子を下りる際に足を滑らせて、15m程の高さから床に落ちて亡くなったという事件。

それ以来、インターカムからその女性の声を聞いた報告が殺到して誰もそれを装着しなくなったという事でした。

ちなみにその時の照明室の床に飛び散った血の跡が未だに消えないと言われて、私は照明室の床に貼られたパンチカーペットを剥がしてみました。

その時の惨劇が伺える程、確かに黒い染みが痛々しく残っていました。こんな話をしてしまうと劇場の利用に差しさわりがあるかも知れませんが、これはその劇場の大ホールではなく小ホールでの出来事でした。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 香川の白狐さん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 シンクス / photoAC

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