歴史的な名画は当時の検閲や経年劣化により、当時描かれていたはずのものが隠れてしまっている事も少なくない。そのため、現代の技術で修復を行うと思いもよらなかったものが描かれていたこと判明することも。
こちらの絵は「ボーフォート枢機卿の死」と題されたもので、1789年にシェイクスピア『ヘンリー六世』第二部の一場面、権力に貪欲な枢機卿が死の床にある場面を描いている。
この絵は最近になって修復が行なわれたのだが、その結果何層にも塗られた絵の具とニスの下に不気味な怪物が隠されていたことが明らかになったのである。
題材となった劇中では、ヘンリー王がボーフォート枢機卿を指して「この哀れな者の魂を包囲している多忙でお節介な悪魔を叩きのめせ」と言うシーンがある。
画家のジョシュア・レイノルズ卿は当初、瀕死の枢機卿のすぐ背後の影に文字通り、不気味な悪魔が潜む姿を描き込んでいた。しかし当時、想像上の生き物を絵に登場させたことは大きな論争を巻き起こし、ある批評家は「あまりにも滑稽で下品で、非難を免れない」と批判したという。そのため、彼はこの悪魔を塗りつぶして隠したものと考えられている。
ナショナルトラスト財団のジョン・チュウ氏は「1789年にシェイクスピア・ギャラリーで初めて展示されたとき、この作品は他のどの作品よりも大きな論争を巻き起こしました。劇中の詩的な言いまわしを、この怪物のような姿で文字通りに表現するのは、当時の芸術的な規則にそぐわなかったのでしょう」と説明している。
A demon that lurked in a 1789 painting by Reynolds was hidden under paint and varnish. The creature emerged in a restoration project. “The Death of Cardinal Beaufort” was originally maligned for its depiction of a fanged figure, and later painted overhttps://t.co/Rccr0cshvR pic.twitter.com/DvfmFqoz9Y
— Alfons López Tena 🦇 (@alfonslopeztena) November 10, 2023
(勝木孝幸 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 National Trust / https://twitter.com/alfonslopeztena