ネス湖のネッシーと並び絶大な知名度を誇る未確認動物「ビッグフット」。
アメリカを代表するUMAであり、1950年代以降現在に至るまで多くの目撃情報や類する話題に事欠かない象徴的存在ともなっている。先住民族の伝承にも残る獣人とも言われ、またイギリスで同様の形態をしたUMAが目撃され「UKビッグフット」として亜種の名にも冠されるほどに有名なビッグフットであるが、その歴史は同時に捏造の歴史でもあったのだ。
ビッグフットの歴史は1958年に始まる。ビッグフット研究家として知られるライ・ワラスが、当時自身の経営するカルフォルニア州の会社の敷地内で巨大な足跡を発見したのだ。「巨大な足を持つ怪物」の出現に地元では紙面トップを飾るなど大きな話題となり、「大足=ビッグフット」の名が瞬く間に広まることとなった。それ以来、目撃や遭遇、撮影という形でビッグフットは話題にあがり続けることとなった。
特に象徴的な事件として、やはり「パターソンフィルム」は欠かせないだろう。1967年に同州で、ロジャー・パターソンとその友人によりビッグフットの歩いている姿が撮影されたのだ。カメラのほうを一度振り向きながら森の中に去って行く様子を捉えたこのフィルムは人々に衝撃を与え、ビッグフットの存在を強く確信させることにもなった。
しかしながら、これらビッグフットの大きな出来事については、フェイクであったという説が極めて濃厚となっている。まず、パターソンフィルムのビッグフットについては、当時から着ぐるみを着た人間ではないかと疑われていた。そして2004年、ボブ・ヘイロニムスという人物によって、報酬目的で着ぐるみに入ったという告白がなされたのである。そもそも、撮影者であったパターソンに撮影ポイントを教えたのはワラスだったのである。
そのワラスについても、2002年に亡くなった直後に彼の甥の口から衝撃的告白がなされた。初めて発見したという足跡はイタズラによるもので、ワラス自身の撮影した多くのビッグフット写真も着ぐるみであったというのである。すなわち、ビッグフットとはそもそも、ジョークによって生み出されたキャラクターだったと考えられるのだ。
なお近年においても、およそ50年前にアラバマ州で発見された足跡がイタズラでつけたものであると、足跡を“作った”人物によりカミングアウトがなされ話題となっている。
ビッグフットのこれらの証拠・証言からすると、はなはだその実在性は怪しいと考えざるを得ないだろう。野生化し大型となった猿という可能性は日本のヒバゴン同様に考えられているため、すべてが否定されるわけではないが、少なくともビッグフットという存在は、フェイクから生み出された魅力的な存在であったことはほぼ間違いないようである。
【参考記事・文献】
・山口敏太郎『都市伝説の作り方』
・ビッグフット着ぐるみ事件!50年代以前にビッグフットという名称はない
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/157831
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(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 By Roger Patterson and Robert Gimlin – https://adventuresinrediscovery.com/2022/06/13/a-forensic-analysis-of-the-patterson-gimlin-film/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=135608635