一緒に人間の魂を黄泉へつれていく?「乳鉢坊と瓢箪小僧」





乳鉢坊と瓢箪小僧は江戸時代の絵師、鳥山石燕の「百器徒然袋」にて紹介されている妖怪である。「百器徒然袋」には「器」とあるだけに年経た器物が変化して妖怪となったものが多く紹介されている。

中には複数の妖怪がセットで描かれているページも存在しており、乳鉢坊と瓢箪小僧も二体一緒に紹介されているものだ。

乳鉢坊も器物の妖怪とみられるもの。乳鉢は科学実験などで使われる乳棒と鉢がセットになったものだ。しかし、乳鉢坊の姿はどう見ても鉢ではなく帽子のような形をしている。




実はこれは仏教の法要で用いられる小さなシンバルのような楽器、にょうばちなのである。よく見ると乳鉢坊の体はぼろぼろの僧衣をまとっているようにも見える。妖怪になってしまっても、自分が何のために作られた道具なのか乳鉢坊はしっかり覚えているようだ。

瓢箪小僧は乳鉢坊と共に描かれており、乳鉢坊の足下に付き従うような姿をしている。瓢箪小僧は器物というよりも植物である点を重視しているのか、瓢箪小僧の僧衣は瓢箪の葉っぱで出来ているのが見て取れる。




絵に添えられた文章によれば、瓢箪小僧を見て肝を潰して気絶した人が乳鉢坊の鳴らしたあの世へ誘うにょうばちの音を聞いて、我に返って事なきを得た、と書かれている。

ここから考えると、瓢箪小僧と乳鉢坊は二人一組で行動して人間の魂を黄泉へ連れていってしまうものなのだろうか。しかし本来はありがたい仏具であるために、魂を盗りそこねてしまうこともある、という事かもしれない。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像左©ウィキペディア鳥山石燕『百器徒然袋』より「乳鉢坊」 右©ウィキペディア鳥山石燕『百器徒然袋』より「瓢箪小僧」 より


鳥山石燕

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