漫画『ゲゲゲの鬼太郎』の作者・水木しげるは、日本や世界の妖怪を蒐集・研究する中で、主に鬼太郎の話中に登場するキャラクターとして、オリジナル妖怪の創作も行なっていた。そんな中でも、鬼太郎シリーズに登場する「妖怪チンポ」ほど激烈なインパクトを放つ妖怪はないだろう。
南方妖怪チンポは、アゴヒゲと髪の毛がつながった一回り大きな顔面、民族的なメイク、(媒体により異なるが)色黒の体に一枚の腰布をまとった姿の妖怪である。その最大の特徴は、なんといっても三連の男性器であり、そこから放たれるジェット噴射並の小便や火炎と、ガス爆発級の放屁を最大の武器とする。また、自由に飛行することもできる。
『鬼太郎の世界お化け旅行』(‘76)は、彼の存在が世に放たれた初登場作品であり、ドラキュラの策略のために雇われるも安月給のため鬼太郎に寝返るという、金にがめつい性格として描かれている。ねずみ男の「おめえチンポが三つついてるからってドロボウになるんじゃないぞ」というセリフが眩しい。
第3期劇場版『ゲゲゲの鬼太郎』(’85)では、劇場版鬼太郎の第一弾という晴れ舞台でアニメデビュー。妖怪軍団のボスとして、ぬらりひょんと共に悪事を働く存在として立ち回った。第4期劇場版『大海獣』(‘96)では、ボスという地位では無くなったものの出番が格段に増えた。
しかし彼に悲劇が訪れる。第5期71話『南方妖怪日本上陸!!』(‘08)でついに地上波デビューを果たすも男性器からの攻撃は無く、名前も「ポ」に変更されるなど時代の不遇を強いられることとなった。76話『最強タッグ!!南方&中国妖怪!!』にも登場するものの出番は少ない。
しかし第6期(‘19)、彼はなんとOP映像へ抜擢されるという快挙を成し遂げ、86話『外国人労働者チンさん』で待望の登場となった。絶妙に陰部が隠れ攻撃の描写も無かったほか、自分の名前を喋ろうとすると邪魔や騒音が入り最後まで名前が明確に言われることがなかったという不可解な現象に見舞われたが、一方で村の貧しい人々のために出稼ぎにやってきたという、これまでとは打って変わった善良者として描かれ多くの人々を魅了した。
水木しげるは、かつてテレビ番組にて彼が紹介された際に「力作のつもりだったけれども、それほど騒いでくれなかった」「不快なんでしょうかね」と嘆いていた。しかし、第6期での登場は当時の監督が何としても彼を登場させたいという一心で、シナリオを何度も練り直したという曰く付きの回でもあった。その結果、彼はSNSのトレンド入りを果たすという名誉をも獲得したのだ。水木しげる先生、あなたの力作は間違いなくみんなから愛されています。
【参考記事・文献】
・#ゲゲゲの鬼太郎 84話はチンさんのポ隠しが絶妙過ぎるとツボる人たち。外国労働者問題へも直球で切り込む展開も
https://togetter.com/li/1440170
・アニヲタWiki(仮) 鬼太郎の世界お化け旅行
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/35648.html
・ニコニコ大百科 妖怪チンポ
https://onl.la/Tdx1tfi
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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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