昭和初期から平成のバブル期の頃まで残る目撃談にこんな話がある。
ある道路にサラリーマン姿の男性がふらふらとさまよっている。何かを探しているようなのだが、男性がいるのは車道の真ん中である。よくよく見れば、男性には頭部がない。この男性は交通事故によって頭部を切断されてしまい、死んだあとも無くなった頭部を探し続けているのだという。
これが「首さがし」と呼ばれている妖怪である。
同名の存在が東京都の八王子でも語られているが、こちらの「首さがし」は人魂のような姿をした存在だ。
ではなぜ「首さがし」と呼ばれるのか詳細が不明な話のためよくわからないが、大正時代頃には語られていた話のようだ。
このように、事故に関連した妖怪の話は非常に多い。
車道に急に老婆が飛び出してきて、轢いてしまったかと思いあたりを見ても消失しているという、「飛び込みばあさん」という妖怪もいる。深夜の道路を下半身だけで走る「走る下半身」と呼ばれる存在の目撃談もあるし、筆者のサイト「妖怪王」には足首だけの幽霊の目撃談もある。
どの妖怪も、未だ自分が死んでしまった事が解らずにさまよい続けている、哀れな地縛霊と言うべきなのかもしれない。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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