石川県の白山に伝わる妖怪が「目附谷の化け物」である。
古来より地元の人の信仰対象となっている白山だが、昔は女人禁制の山でもあった。
しかし、ある老婆がこの禁を破って白山の頂上を目指して山に入った。これを知った白山の神は怒り、老婆を捕まえて草鞋を剥ぎ取ると体を真っ二つに裂いて左右それぞれの体を蛇谷と目附谷に放り投げてしまった。
蛇谷の方に投げ込まれた半身はそこに住む蛇達に食べられてしまったが、目附谷の半身はそのままの姿で妖怪となった。
以降、目附谷には身体半分だけの老婆の姿をした妖怪が現れるようになった。この妖怪は自分の失くした半身を求め、人に襲いかかるのだという。
ある時、白山詣でに山に入った旅人がこの化け物に襲われた時、思わず自分の履いていたぞうりを投げつけた。化け物は自分がなくした草履が返ってきたとソレに飛びついたが、片腕しかないので草履の紐が上手く結べない。
旅人はその隙に逃げることが出来たので、以降白山に登る人は化け物にもし出会ってしまった場合、ぶつけるための草履を用意するようになったという。
(監修:山口敏太郎/田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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