芸人・博多大吉は軽妙なトークで人気のある人物である。もともとは福岡吉本で活躍していた地方の芸人であった。そして大吉はその福岡時代に女がらみの怖い体験をしている。
福岡の劇場で仲間の芸人が、ファンの女の子から手編みのセーターをもらった。プレゼントはありがたいのだが、手編みと言うのは少々重過ぎる。そこでその仲間の芸人は、手編みのセーターを着ないで楽屋に置きっぱなしにしていた。
ある時、劇場のスタッフの女の子が仕事で遅くなり、楽屋で仮眠をとることにした。
「このセーター、着ないのなら布団がわりにきて寝てもいいですか?」
芸人たちに了解を得た劇場スタッフの女の子は、手編みのセーターを着込んで楽屋で寝始めた。明け方になってその女の子の悲鳴が劇場に響き渡った。
「ヒャー、なに、これ」
芸人たちが急いで彼女の元へ駆けつけてみると、女の子の全身に引っかき傷のようなものがある。
「このセーターは何かあるんじゃないか?」
そんな話になり、芸人仲間でそのセーターを隈なく調べたところ、すべての編み目にどうやら送り主の女性のものと思われる、髪の毛がビッシリと埋め込まれていた。
アトラスでは過去に博多大吉の記事を掲載している。手ぶらのサンタクロースがやってきた話はなかなか微笑ましい。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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