今月いっぱい火星が地球に大接近している。先月末の2018年7月31日、最も大接近した火星を、筆者も犬の散歩をしながら撮影にトライしてみた。
夜空に煌々と光る火星を見ていると明治10年に起こった西郷星伝説を想起させられる。
我々日本人は古代から星に対して幻想を抱いてきた。縄文時代の遺跡には星や太陽の動きを緻密に観測できるものがある。
他にも平安時代には平将門が北辰信仰に傾倒し、その子孫にあたる千葉一族は北辰一刀流を考案した。
明治10年に西南戦争で命を落とした英雄・西郷どん、こと西郷隆盛に対して、人々は同情し、同時期に急接近した火星に「西郷星」と言う名前をつけた。
火星を望遠鏡で見ると西郷どんの姿が見れると噂が広がり、多くの人々が商売繁盛や恋愛成就を祈願したと言う。
これは現在でも続いている。亡くなった人を「星になった」と言い表らわす日本人の死生観につながってくる。
また、誰しも流れ星に願いをかけた事はあるだろう。「西郷星」伝説は今も日本人の心に残っているのだ。
他にも、アニメや特撮に日本人の星への信仰心が垣間見える。
例えば、不入の名作である野球アニメ「巨人の星」の名シーンに、父親である星一徹が一番輝く星を指差して「飛雄馬よ。巨人の星になれ」と訓示するくだりがあるが、これもまた北辰信仰の系譜であると思われる。
さらに筆者が子供の頃に夢中になったウルトラ兄弟の故郷、M78星雲が「ウルトラの星、光の国」と呼ばれていることも日本人の星への幻想をくすぐった。
我々日本人は古代から星に対して多くのファンタジーを抱いてきたのだ。
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赤く大きく輝く火星を実感 15年ぶりに地球に大接近(18/07/31)
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
画像©山口敏太郎