平成最後の戌年に動き出した戌張子!!~「えんぎもん」アニメ化~





2018年に入ってから街中やSNS上で戌張子を見かけることが多くなってきた。縁起物と言えば招き猫が代表格だが、今年は戌年だからであろうか。

「平成29年度文化庁若手アニメーター等人材育成事業あにめたまご2018」では、スタジオななほしが製作した「えんぎもん」という戌張子がメインキャラクターのアニメーションが誕生した。

はるおさんと呼ばれ親しまれている戌張子のキャラクターの声は、ちびまる子ちゃんの声を担当している人気声優・TARAKOによるものである。他にも豪華声優陣が出演しており、ツイッターでも話題になっている。木川田ともみ原作・佐藤広大監督・プロスタッフ達の協力によって、これからを担っていく若手アニメーター達が奮起して出来上がった作品である。

「えんぎもん」とは何か?

「えんぎもん」とは、縁起物に魂が宿って動いてお話するキャラクター達によるドタバタ喜劇である。民俗学者である父親・命が買って来る縁起物に囲まれて育った、天野川家長男・大和とその妹・ひみちゃんもえんぎもん達が引き起こす騒動に巻き込まれていくのである。

この物語からは忘れ去られようとしていた日本の文化や教訓を学べるだけでなく、平成という時代の流れをくみ取ることもできる。平成最後の戌年にこのアニメが登場したのは随分意味深である。

次の元号に向けて、この物語にはどんな意味が隠されているのであろうか。

関連動画
「えんぎもん」予告編






大和とひみちゃん

えんぎもん達は人間の前では普通の縁起物だが、まだ幼いひみちゃんとは遊んだりお話したりしている。はるおには招き猫のたら福というライバルがいた。たら福ははるおに報復する機会を狙っていた。そんなことはつゆ知らずなひみちゃんは、たら福の子分である福次郎と小福について行ってしまう。

だが、彼らよりもひみちゃんの方が圧倒的に強い!ひみちゃんにとってはえんぎもん達全員が遊び相手なのだ。古来、邪馬台国で占いや妖術によって国を統治していた卑弥呼のようだ。かつて女性が中心となって動いていた時代の次は、男性王が統治する大和時代。

普段は面倒くさがりでゲームばかりしている大和だが、けっして名前負けはしていない!命が不在の時は自らお父さん役になって家族の和を守り、「ぼくが見つけなきゃ!」とひみちゃんを探しに行く勇敢な一面がある。はるおのピンチも救っている。大和が招き猫達との戦いに使った「マタタビ」が、古来の三種の神器の一つである「マガタマ」と見事に韻を踏んでいるところが面白い。

この物語では、かつての女性中心社会と男性中心社会が兄妹として仲良く平等に共存する構図が出来ている。

招き猫VS戌張子

はるおをおびき寄せることに成功したたら福は、街中の招き猫全員を仲間にしてはるおを追い詰めていく。縁起物は江戸時代くらいから作られている民芸品だが、招き猫は平成でもブームになっている。未だに商売繁盛や客寄せのご利益があると云い伝えられ、多くの店や一般家庭でも親しまれている。

多勢に無勢となったはるおであったが、既に述べた通り大和や他のえんぎもんの仲間達の協力によって大逆転となった。平成の招き猫ブームから平成最後の戌年に戌張子ブームが起こることが暗示されていたかのようである。

「えんぎもん」は何かを象徴している!?

街中から集まった大量の招き猫は、人々の経済的な欲の象徴と言える。昭和の高度経済成長から日本は大きく成長し、現代は物に不自由することが少なくなってきた。男・女関係なく働ける時代になった。男は外に出てお金を稼ぎ、女性は家事をしながら精神的に支えるという、天野川家のような昭和的固定観念はだいぶ薄れてきているがまだその名残がある。

平成ではスピリチュアルや占いもブームになっているが、女性の方が精神的なことに惹かれる人が多い(男性でも好きな人はいるが)イメージがある。女性が社会進出できても未だに男性中心社会の名残は完全に消えておらず、男性化して仕事するような状態に陥りやすい。だが問題はそこではない!

男性中心社会だけに偏ってしまうと、どうしても精神面よりも経済面に執着しがちになってしまう。だが、我々の心はお金や物質だけでは満たされないのである。人や生き物、物への愛情など精神性も必要だと、えんぎもん達は伝えてくれているのではないだろうか。大和とひみちゃんは男性性と女性性の融合を象徴しているように思えるのである。




なぜ戌張子が人気に!?

大和の小さい頃から子守までして子供の成長を見守り続けているはるおは、父性と母性の両方の愛を合わせ持っているようだ。悲惨な虐待の事件が未だに後を絶たない現代日本に、はるおは「成長を見守る」ことの大切さを呼びかけているのである。

背中に扇子と五円玉とデンデン太鼓を背負っている戌張子には、末広がりに人生が開けお金に困ることなく健康で裏表なく育つようにという意味が込められている。戌張子には経済面だけでなく、子供の身体と心の成長や幸せになるご利益があるのである。少子化した現代だからこそ戌張子のご利益は余計に有り難がられるのではないだろうか。

平成の最後に戌張子が流行り始めたのは単に戌年だからという理由だけではなく、世の中がそのご利益を求めているからなのかもしれない。

(寄稿:ふりーらいたー古都奈 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

画像©スタジオななほし ピクシブ株式会社

参考サイト
招き猫-Wikipedia
犬張子の由来

 

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