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100年に1度現れる村「ブリガドーン」伝説のモデルになった魔物が住み着く村伝説

水木しげるの作品『ゲゲゲの鬼太郎』の「妖怪大戦争」に、「ブリガドーン」と呼ばれる現象が登場する。

それは、百年あるいは千年に一度、ある条件が揃うことで発生する現象であり、妖怪や幽霊が跳梁跋扈する空間だとされている。黒いスモッグ状に一つ目の妖怪であるバックベアードをはじめとした西洋妖怪たちが現れた根源としても知られている。

ブリガドーンというものは、ミュージカル、小説あるいは宝塚歌劇でも作品・演目として実在しており、それらは、霧の中に100年に一度だけ現れる幻想的な村を舞台とした内容となっており、いわば日本の遠野物語にあるマヨヒガのようなものとなっている。

そもそもブリガドーンとは、スコットランドのエアシャーに存在するドーン川に架かった橋、通称「ドーン橋」のことを指している。ドーン川の橋(Brig o’ Doon)、それがつまりドーン橋、ブリガドーンというわけだ。ドーン橋は、1465年にジェームズ・ケネディという人物によって建てられた、アーチ型で石造りの歩道橋となっており、こんにちではスコットランドの5ポンド紙幣にも描かれているランドマークにもなっている。

歴史あるこの橋は、前述したように詩や小説の舞台として描かれることが幾度もあったが、その理由はスコットランドにまつわる魔女の伝説に基づいているためだ。スコットランドの詩人であるロバート・バーンズの詩「タム・オ・シャンター」には、シャンタームらの農夫タムが馬に乗っていたところ、魔女のナニーが馬の尻尾をつかんで追ってきたが、ドーン橋を渡ったことで辛くも難を逃れることができたというストーリーが描かれている(可哀そうなことに馬は尻尾を失ってしまったそうだ)。

また、ブリガドーンには次のような伝説が残されているという。ブリガドーンにはかつて村が存在していたのだが、邪悪な魔法の呪いにかかり、100年に1度の特別な日を除いて外部の世界からは見られなくなってしまった。もし村人の誰かがその場所を離れようとしてしまうと、たちまちその村人はおそか村諸共が霧に覆われ消えてしまうのだという。村はまだ存在しているが、何らかの影響によって抜け出せず、1754年以降その姿を現さなくなってしまったとか。

一説によると、このブリガトーンの神話はドイツの伝説が輸入されたものではないかとも言われている。ドイツには、「ゲルメルハウゼン」という呪われた村の伝説があり、そこには人間たちに危害を加えることを望む邪悪な勢力が住み着いており、バイエルン山脈のどこかに隠れて見つけることができないのだという。

そのため、この近辺は立ち入らずに避けるべきであると言われている。おそらく、鬼太郎の中で登場したブリガドーン現象の原型はここにあっただろうと考えられる。

アイルランドの作家ボブ・カランによると、このブリガドーンの村にかけられた”呪い”は、ジャコバイト(暗殺未遂や反乱を繰り返していた反政権勢力)の反乱のさなかに進軍してきたレッドコート(イギリスの陸兵隊)から護るためのものであったと自著で述べており、歴史的な背景を事情に持った隠蔽がブリガドーン伝説を形成し、それがドイツの伝説と結合したのではないかと考えられるだろう。

【参考記事・文献】
ブリガドーン
https://dic.pixiv.net/a/%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%B3
Legend Of Brigadoon: Mythical Village Where Time Stands Still
https://www.ancientpages.com/2016/11/02/legend-of-brigadoon-mythical-village-where-time-stands-still/
Brig o’ Doon
https://www.nts.org.uk/visit/places/robert-burns-birthplace-museum/highlights/brig-o-doon
Brig O’ Doon
https://ayrshireandarran.com/brig-o-doon/

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【文 ナオキ・コムロ】

画像 ウィキペディアより引用