平昌オリンピックが盛り上がっている。松岡修造が応援に行くと気温が上昇するとか、公式ホームページから日本列島が消された陰謀論が流れるなど、変な意味でもオリンピックは盛り上がっている。
羽生結弦が安倍晴明や「くまのプーさん」、足の神様の力を使って見事金メダルを取ったように、オリンピックにおいてはジンクスやパワースポットが大きく作用することがあるようだ。
オリンピックの開幕式では、エストニアの旗手が美しすぎると評判になったが、わが国においてはオリンピックの主将と旗手は期待された成績を収めることができないという都市伝説がある。
今回、旗手を務めたスキージャンプ男子の葛西紀明は金メダルの可能性も指摘されていたが、残念ながら惜しくもメダル獲得には至らなかった。
また、恐るべきことに日本選手団の結団式で、葛西が欠席したため代理で旗手を務めたスキージャンプの高梨沙羅も金メダルを期待されていたが、惜しくも届かなかった。
この「主将と旗手を務めるものは期待された成績を収めることができない」というジンクスは1996年のアトランタオリンピックから始まっている。以下順番に検討してみよう。
1996年アトランタオリンピックの主将は谷口浩美(マラソン)であり、開会式旗手は田村亮子(柔道)であった。谷口は金メダルに届く可能性があると言われていたが、メダルを手にすることができなかった。田村は金メダル確実とまで言われていたものの、金メダルを手にすることができなかった。
2000年シドニーオリンピックの主将は杉浦正則(野球)であり、開会式旗手は井上康生(柔道)で、閉会式旗手は高橋尚子(マラソン)であった。杉浦が所属していた日本の野球チームは3位決定戦で韓国に敗れた。しかしながら、高橋と井上は下馬評通り金メダルを見事に獲得している。
2004年アテネオリンピックにおいては、主将は井上康生(柔道)であり、開会式・閉会式旗手は浜口京子(レスリング)であった。金メダルの有力誤報であった井上は惜しくも破れ、2連覇の夢は途絶えた。金メダルの可能性も指摘されていた浜口も悔しいかな銅メダルに終わっている。
2008年北京オリンピックにおいては、主将が鈴木桂治(柔道)であり、開会式旗手は福原愛(卓球)、閉会式旗手は北島康介(競泳)であった。柔道の鈴木は惨敗、メダルの可能性が大きかった福原愛も破れ去った。唯一、北島は見事金メダルをゲットしている。
2012年ロンドンオリンピックでは、主将が村上幸史(やり投げ)であり、開会式と閉幕式の旗手は吉田沙保里であった。村上はメダルに届かなかったが、吉田はプレッシャーに負けず金メダルを手にしている。
2016年リオデジャネイロ五輪においては、日本選手団の主将はレスリングの吉田沙保里が務め、旗手は陸上男子十種競技の右代(うしろ)啓祐が務めた。知っての通り吉田は残念ながら金メダルを逃してしまった。右代もメダルには届いてはいない。
このように各オリンピックにおいていずれも主将や旗手は、期待された成績より下位の結果しか出していない。単なる偶然にも思えるし、見事予定通り金メダルをゲットしている選手もいる。
絶対的なジンクスだとは言い切れないが、ある程度の確率はあるように思える。
われわれは応援するだけであり彼らの血のにじむような努力には、本当に頭が下がる思いだ。国民の過剰な期待とマスコミの取材攻勢が主将や旗手に降りかかるのであろうか。なんとも不可解な都市伝説である。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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