昭和の大歌手・美空ひばりと言うと、中高年以上ならば知らないものはいない日本を代表するスターである。
残念ながら平成元年に52歳という若さで亡くなってしまったが、彼女が戦後の芸能界に残した功績は偉大である。アトラスでも過去に何度かひばりに関する記事を取り上げてきた。「美空ひばりが2人いる。影武者説」「美空ひばりの幽霊がテレビ番組に出た」「美空ひばりと浅丘ルリ子の固い友情」などが代表的なアーカイブである。
今回紹介する伝説は、ある少年とひばりの不思議な出会いの話である。
ひばりがあるコンサート会場で全曲を歌い上げ、舞台内側の通路歩いて楽屋に帰ろうとした。その時、お母さんに連れられてコンサート会場に来ていた1人の少年がひばりにこう話かけた。
「おばさん、歌うまいね」
その時、ひばりの周りにいた関係者は背筋が凍った。芸能界の大御所であるひばりに向かって「おばさん」と呼ぶなんて当時では考えられない話だ。まして「歌うまいね」などとひばりに言うなんて、いくら子供でもこれはまずいだろう。関係者はそう思った。
すると、ひばりはにっこりと笑ってこういった。
「坊や面白い子ね、私、歌がうまいって言われたこと初めてよ」
その後、ひばりは少年を楽屋に呼び仲良くなった。以降もたびたびコンサートに少年を招待し、その交流は長く続いた。
その時の少年はその後芸能界入りし、大スターになった。
ジャニーズ事務所の大御所、近藤真彦がその時の少年なのだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像『LOVE! MISORA HIBARI JAZZ & STANDARD COMPLETE COLLECTION 1955-66』