怪談

中尾彬は見た!半透明なワイシャツの男…黒焦げ人間が這いながら追ってきた





多くの映像作品に出演してきたベテラン俳優の中尾彬は、何度か心霊体験をしている。

最初に目撃したのは学生時代だという。少年時代を千葉県の木更津でおくった中尾。その当時、学校には自転車で通っていた。

ある日の帰り道、土手にある踏切に男が座っていた。しかも、冬なのにワイシャツ一枚である。不審に思ってよくみると向こうが透けて見える。この瞬間、幽霊だと確信した。

二度目は、若手俳優時代であった。京都の旅館に四人の仲間と同じ部屋に泊まっていた。中尾は一人松本清張の本を読んでいた。あとの四人の仲間は既に高イビキをかいている。

すると出口の近くで寝ていたはずの二人のうち、一人と思われる仲間が障子を開けて外に出て行ったのを見た。

しかし、いつまでたっても帰ってこない。おかしいと思って良く見ると、実は二人はそのままずっと寝ていて、その間に半透明の男が座っている。中尾は悲鳴をあげてしまった。その部屋は、男女のカップルが心中を図った部屋であったらしい。




三度目に幽霊を見たのは、妻の池波志乃と一緒の時だった。ある公演で広島のホテルに泊まることになった。妻である池波と部屋に入った中尾だったが、水の流れるような音がする。音をたどって調べてみると、同じフロアにあった四畳半の部屋にたどり着いた。その部屋にある姿見から水の音が聞こえてくる。妙だなと思いつつも自分の部屋に戻って、そのまま寝てしまった。

それから数時間経って、真夜中に妻に起こされた。

「あっ、あれを見て」

妻が指差した方を中尾が見ると、黒い霊体が蠢いている。

「なっ、なんだあれは」

一体や二体ではない。無数の黒焦げになった霊体がこちらに向かって這ってくる。

「うわーっ」

恐怖のあまり部屋を逃げ出し、ラウンジにいると、他の部屋に泊まっていたスタッフや共演者たちも降りてきていた。話を聞いてみると、みんな同じような黒焦げの霊体を見たと言うのだ。そのホテルは墓場に隣接しており、戦時中の犠牲者が多数葬られていた。

それ日以来、中尾は幽霊を見なくなったのだが、逆に妻の池波は霊感が強くなり、度々霊を見るようになったという。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像『カミさんの食卓