都市伝説が生まれる過程とは・・・都市伝説「怪人アンサー」狂想曲

 以前、アトラスでは携帯で同時に通話すると現れる「怪人アンサー」(※)について紹介した。

 10個の携帯電話から順番に電話をかけていくと、何でも質問に答えてくれる「怪人アンサー」が出てくるが、一人にだけ逆に質問をしてくる。この質問に答えられないと、液晶画面から手を伸ばしてきて体の一部をもぎ取っていってしまうとされているものだ。




 後に、アンサーはある人物により「都市伝説を広げる実験だった」とするカミングアウトがあった。今回はこの詳細を解説したい。

 2002年8月10日前後の事である。都市伝説を扱うサイトに奇妙な投稿が見られ始めた。それが「アンサー」の投稿の始まりである。当時有名だった多くの都市伝説やオカルトを扱うサイトの掲示板に様々なハンドルネームで「怪人アンサー」の噂が書き込まれ始める。内容は前述の「アンサー」の噂を紹介しつつ、こんな噂を聞いた事がないですか?という文章であった。

だが、2002年10月3日の東京新聞を始め各種マスコミで紹介され話題となり、ついには噂を流した本人が名乗り出る事になった。このアンサーのマスコミ露出には実は筆者が関わっている東京新聞に現代妖怪のインタビューに出た時、妖怪王の投稿の中から記者さんが「アンサー」の記事を選んで掲載してしまったのだ。また2003年に心泉社から発売した自著「妖怪草子」においてもアンサーを紹介している。これが後のTV番組出演につながった可能性はある。

 このマスコミ露出を受け、捏造した本人は当時サイトにて以下のように説明している。

「私の事をアンサーがTVに出たのを自慢していると取られる事が多いようですけれど、それは若干違います。確かに、掲載されたのは嬉しい。でも、本当の所はそうではない。このアンサーという噂が、TVが使いやすい噂に「本質」が変化させた事が重要であり、それを知って欲しかった。何の事は無い、思いつきといってもいい想像によって生まれた怪人が、その内容を変化させられて社会性を持った噂となった。アンサー。答え。見通しのつかない現代社会において、その先の答えを知りたい。携帯というツールで、誰かと繋がっていたい。そんな、製作者が意図していなかった、本質を与えられた。それも、TVという現代の社会において最も多くの情報を流すツールによって。ツールにおける番組の製作者によって。それが、何を意味するか、考えてみてもらいたい。本当のアンサーの意味を知って。アンサーの与えられた、後つけの「本質」が、いったい何を意味しているのかを。そして、そういう後つけの本質こそが、都市伝説における重要な要素であるという事を知ってもらいたく…」

 だが、アンサーという噂は何の社会性も持ってないと私は断言できる。筆者のサイト「妖怪王」、松山ひろし氏のサイト「現代奇談」、R石井氏のサイト「現代特殊民話」という作家やフリーライターのサイトに投稿して、マスコミに採用されるのは当たり前であり、マスコミがTVや誌面にのせる時にもっともらしい解釈をつけるのは常套手段である。

 未成熟なストーリーをマスコミが学術っぽく解釈し、採用しただけであり、噂として社会性を持つのとは意味が違うといえる。




 兎に角、捏造者の実験により、真実を記すべき記者、作家、ライター、TVマンが捏造した話を報道してしまう事で、彼らのキャリアに傷がつけてしまい、今後の仕事にも大きなダメージを与えたという事実を捏造者は自覚しているのであろうか。情報を扱う大人の仕事を邪魔したわけである。

 少なくとも善意の投稿を前提として情報を集められている各サイトの管理人の信頼感を裏切り、自然発生の噂と信じていたマスコミ人たちを、流言で振り回した事実は決して許されるものではない。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

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