今年の7月、千葉県銚子市にて日本有数のかっぱグッズコレクションを揃えていた大内かっぱハウスが、山口敏太郎氏の貴重な妖怪コレクション「妖怪博物館」と合体して営業を再開した。
再開にあたり、館内には山口敏太郎氏がこれまで秘蔵していた正真正銘の妖怪絵巻も複数点展示されている。そのひとつが、2階に展示されている「阿波化物図絵」だ。こちらは徳島県(阿波徳島藩)の旧家から出たものであり、その家の先祖が手慰みに描いたものだとされている。
所謂無名の素人絵師による妖怪・幽霊画だが画面の構図や構成が巧みで当時の風俗が描き込まれているなど、江戸時代後期の文化を伝えるものとして見ても興味深い内容となっている。また、妖怪の造形もダイナミックな構図を用いたものや他の絵巻ではなかなか見られない独創的なものも多く含まれている。
有名な妖怪をモチーフにしたものも少し捻った構図のものがあり、例えば河童の絵は水中で人間を襲って尻子玉を抜こうとする躍動感に溢れたものとなっている。
本来はひと繋ぎの絵巻となるものだった可能性が高いが、一枚一枚がバラバラの状態でひとまとめになっていたという。何らかの理由があって絵巻の体裁になる前に流出したのだろうか。
この貴重な妖怪絵巻は千葉県銚子市の大内かっぱハウスにて展示中。時代を越えて蘇った貴重な妖怪絵巻を間近で楽しんでみてほしい。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)