少し前であるが、女性向けのサイトで「いいはなし」として流行っていた奇妙な話があった。
まるで昭和時代にみんなが騙された「一杯のかけそば」のリメイク版ともいえる「お子さまランチ美談」が、女性の熱い涙をがっちりつかんでいたのだ。
ここでその美談的都市伝説としてご紹介しよう。
ある年配の夫婦が某テーマパークを訪問する。夫婦はそのテーマパークの園内にあるレストランに入店すると、注文を聞きに来た店員にこう言った。
「お子様ランチ3人前お願いします」
二人連れなのに、何故かお子様ランチを3人前注文するのだ。だが、この店では子供以外は、お子様ランチを注文できない。店員は申し訳なさそうに説明した。
「お客様、お子様ランチは子供のお客様以外は注文できないのです」
店員が言い終わると、夫婦が身の上話をし始めた
。
「実は10年前、うちの子がなくなったんですが、その時お誕生会をここでやってお子様ランチを食べる予定にしていたんです。・・・だから、今夜あの子の10年目の今日は記念にやってきたんですよ」
事情がわかった店員は感動し、号泣した。数分後、夫婦二人分と、亡くなった子供の分、合計3人分のお子様ランチを出した。
こんな筋書きであるが、これで大泣きした女性が多いという。なんだか妙な世の中である。
この話は、実話とも、作り話とも言われており、その正体は定かではない。一説に、接客マニュアルとして、一部のファミレスの研修で使われるとか、某有名テーマパークの研修で話される話だとか言われている。
まあ現時点では、都市伝説的にささやかれている「お子様ランチ美談」だが、「世界の中心で愛を叫ぶ」などに代表される純愛小説ブームの影響だろうか。
現代人は涙を流したい、心が癒されたいという傾向が強いようだ。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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