この妖怪『ザントマン』は、日本語では『砂男』と翻訳されるが、ドイツでは広く知られた民間伝承の睡魔である。
基本、姿の見えない眠りを誘う妖精だが、砂の入った大きな袋を背負った老人の姿をしていると言われており、近年では若い男で描かれる場合もある。
この袋の中の砂が問題であり、この砂を人間の目に放り込み、眠らせてしまうと言われている。それでも寝ない場合は、『ザントマン』が寝るまでまぶたを噛み続けると言われている。
ドイツでは一種の教訓妖怪として使われており、子供が夜なかなか寝ないと「ザントマンがやってくるぞ」と言って寝かしつける習慣があったという。
この『ザントマン』が日本で有名になったのは、1817年に発表されたE.T.A.ホフマンの短編小説が『砂男』として発売されて以降である。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)