夜な夜な棺桶から姿を現し、人を襲って血を啜る吸血鬼。映画や小説など創作の世界で有名な妖怪だが、まさにこの吸血鬼と同じような凶行に及んでいた殺人犯が実在するのだ。
1940年代に8人の男女を無差別に殺害したジョン・ジョージ・ヘイグの凶行は正しく吸血鬼そのものであった。
彼の被害者は自宅の地下室に誘われた所で襲われ、ナイフで首をかき切られる。動脈が切れて鮮血が迸るが、ヘイはその傷口に口を当てて血を吸ったと言うのだ。そして出血多量で死亡した死骸はドラム缶の中に入れられ、硫酸で大半を溶かされた。そして最終的には下水に流して処理をしていたという。
1949年に彼は逮捕されたが、普段の彼は人付き合いが良く近所の人にも好かれていたため、逮捕されたことを知って驚いた人も多かったという。
殺害は単に金銭目的で行われており、筆跡を偽造して被害者の財産を自分のものにしていたのだという。では、なぜ吸血行為を行ったのかという点について疑問が残る。ヘイの証言によれば吸血行為を行うと異常に興奮したそうだが、本人の供述や死刑になる前に出版した自叙伝にもあまりはっきりした説明はない。
何が彼を殺人や吸血行為に駆り立てたのか。正確なところは不明のままだ。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像は『John George Haigh – Acid Bath Murderer (True Crimes Book 31) (English Edition)』表紙より