常堅寺を抜けると、小さな川が流れている。
川に沿って川上に向かってしばらく歩くと、そこには河童の伝承が多く伝えられている河童淵が存在する。この河童淵には河童を捕まえる為に釣竿の先にキュウリが吊るしてある罠が張られている。この罠は、遠野の人間でなくとも遠野駅で売っている「河童捕獲証明書」を購入すると、誰にでも使えるようになるそうだ。
常堅寺の項目にもあるが、遠野に伝わる河童とは座敷童子と同様に人を幸せにしてくれる妖怪である。遠野の河童は、一般的に伝えられている河童のようにいたずらが好きである。その為よく人家に住む馬を川に沈めるなどの所業を行っていた。しかし、この河童は時に人間に取った魚を分けていたという。
諸説によると、河童とは水神の神使であるという。遠野に伝わる河童にはこの要素が強く、時には人に害を与えることもあるが、人に齎す富の方が多いと考えられているのかもしれない。
水神の神使である河童を捕まえるのではなく、一目見る為に遠野に訪れるのも一興ではないだろうか。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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