かつて一部のエリート層が地球を離れ、火星に移住する計画を立てている…とする衝撃的な内容で話題となった「第三の選択」というドキュメンタリーがある。だが、これはイギリスのアングリア・テレビがエイプリル・フール用の番組として製作したフェイク作品であった。
しかし、探査機や探査衛星が火星に送られ、火星の環境に関する詳細がわかってくると、この火星への移住がまんざら夢物語ではなくなってきた。
2012年に入って公表させたことなのだが、アメリカ・ニューメキシコ大学の科学者フランシス・マッカビン氏によると、火星地下のマントルには火星全体を深さ200~1000メートルで覆うことが可能なぐらい大量の水分(70~3300ppmの水分)が埋蔵されていることが判明したのだ。
火星から飛来した隕石を分析したところ、結晶構造の中に水分を含む含水鉱物があることがわかったのだ。この水の由来は、火星創世時までさかのぼる可能性が高く、彗星や小惑星が運んできた水ではないという。
また、米国航空宇宙局(NASA)は、2012年9月11日「火星に雪が降っている」という事実を公表した。火星周回探査機「マーズ・リコネサンス・オービター」を使った観測によると、火星の南極部分に二酸化炭素が凍結したドライアイス状の雪が降っていることが確認されたというのだ。
かつては水も酸素もない”死の世界”と言われた火星だが、どうやら住環境は悪くないようなのだ。2011年年末に放送された「ビートたけしの超常現象Xファイル」にて、UFO研究家の竹本良氏が興味深い話をしていた。
「既に火星には、人類が5万人移住している。だが、Tレックスのようなプレデターがおり、4万3千人が捕食され、残り7千人になってしまった。火星への移動はテレポーテーションであり、ジャンプルームで瞬間移動する」
この番組には筆者も出演していたが、何を馬鹿な話をしているのかと思ったのだが、2012年に入り、火星移住に関する興味深いニュースが報道された。なんとベンチャー企業が近い将来火星に移住計画を行うと発表したのだ。
米国・宇宙関連ベンチャー・スペースX社は、民間企業として初めて2012年5月に、ドラゴン宇宙船を開発、国際宇宙ステーションへの無人物資補給を成功させる実績を持っている。
米宇宙専門メディアの「スペース・コム」によると、同社の創業者・CEOであるイーロン・マスク氏は、ひとりあたり50万ドルの予算で、火星に8万人の人類を移住させるプロジェクト構想を明らかにした。繰り返し使える巨大なロケットや液体酸素とメタンを燃料を使って生活、10数人の少人数の移住からじょじょに人数を増やしていくという。
同様のプランはオランダにもあり、10年後の2023年までに飛行士4人を火星に着陸させ、その一部の様子をTV番組で放送する予定であるらしい。
かつてのエイプリルフールのネタも現実な話として話題になる日が来たのである。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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