【実話怪談】理系の専門知識を授ける「仮面の男」

 筆者の知人の一人である漫画家の女性の体験だ。

 彼女が漫画家として活躍し始めた時のこと、毎晩繰り返しみる夢があった。それは同じ男が現れ、語りかけられるという夢であった。男は無機質な白い仮面を被っており、学生時代から度々彼女の夢の中に登場している男だった。




 男は彼女に対し、彼女が知らないような話をたくさん語ってくれるのだが、なぜか物理学や科学、数学など理系の話題ばかりであった。
 「この方程式はこうやって解けばいい」
 「これはこの法則が関係している」

 彼女は理系の話題に興味があるわけでもないうえに、かなり高度な話だっため、ほとんど理解できなかったという。
 なぜ、仮面の男が自分の元に現れ、理系の話をするのか不思議に思いつづけていた。そこで、思い切って夢の中でそのことを聞いてみることにした。

 ある夜、眠りにつくと、いつものように夢の中に仮面の男が現れた。彼女は不思議に思っていたことを直接仮面の男にぶつけた。
 「なぜあなたは毎晩のように私の夢の中に現れて色々教えてくれるのですか?」

 すると、いつもクールな態度を崩さなかった仮面の男が動揺し始めた。

 「夢の中で私と会ったことを、覚えているのか・・・?」
 「ええ、毎晩のように会っているじゃないですか」
 「馬鹿な・・・覚えているなんて・・・そんなことがあるわけない・・・」

 仮面の男はさらに激しく動揺し始めた。どうも仮面の男は、夢の中で会っているのを彼女が覚えていることに、相当な違和感を覚えているようであった。

 彼女はさらに追求を続けた。
 「ねぇ、なんで理系の知識ばかり教えてくれるの? 私は学者じゃないですよ。漫画家ですよ」

 この質問を受けて、仮面の男は彼女を見つめたまま動かなくなった。そしてしばらくして、それまでとは別人のような低いトーンの声でこう言った。
 「どうやら混線しているようだ。この周波数はおまえと合うためのものではない」

 男の話に今度は彼女が困惑させられた。
 「周波数? どういう意味ですか・・・? あなたはいったい何者なんですか?」




 男はこう答えた。
 「私は人間に知恵と発想を授ける“ひらめき”なのだよ」

 その夢を見て以来、もう仮面の男は現れなくなったのだという。
 急に素晴らしいアイデアがひらめいたり、なんとなく思ったことが当たったりすることがあるが、それはもしかしたら、誰かが授けてくれたものなのかもしれない。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)

画像©PIXABAY

 

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