【学校の怪談】『人体模型』の祟り

筆者には二つ年下の妹がいる。子供時分には当然、同じ小学校に通っていたが学年が違うと噂も異なるのか、筆者の知らない学校の怪談があったようだ。

妹のクラスでは「理科室に置かれた人体模型に悪戯をすると祟る」という噂があった。妹の弁によると、それは噂ではなく事実だという。

お調子者で悪ふざけが好きなA君というクラスメイトが人体模型の腸のパーツに『ウンコ満タン』とマジックで落書きをした。彼は翌日から3日ほど学校を休んだ。悪戯をした日の晩に急性胃腸炎を発症し嘔吐と下痢と高熱で自宅療養していたそうだ。




女子の中でもやんちゃで男勝りのBちゃんは人体模型の男性器を掴んだり『握り潰してやる!』というパフォーマンスでクラスを沸かせていたが、膀胱炎を発症。通院しながら排尿時に痛みを感じると暫くの間、周囲に洩らすようになった。

また、耳と鼻の穴にチョークを挿した者は中耳炎で鼓膜切開までする事態となり、『目潰し!』と模型の目を突いた者は翌日、眼帯をはめて登校してきた。

あまりにわかりやすい罰が当たるので、妹のクラスでは人体模型に悪戯をする者はいなくなった。この人体模型は校長先生がいわくつきの中古品を買ってきたのだというような噂まで流れるようになった。




ある日の昼休み、クラスのガキ大将であるC君が同じ学校に通う兄と一緒に理科室へ乗り込んだ。人体模型の祟りが本物かどうか試してやると兄が息巻いていたらしい。

妹は友達からの又聞きで、二人が人体模型に何をしたのかは知らないそうだが、C君兄弟は自転車で二人乗りをしていて車にはねられた。この交通事故については筆者も担任から聞いて知っていた。C君の兄とはクラスメイトだったからだ。

幸いC君兄弟に大事はなく骨折と打撲程度で済んだようだが、以後、妹のクラスでは人体模型に悪戯をするどころか、怖がって誰も近寄らなくなったという。

我が母校の人体模型は子供たちに、初めて見る人体の神秘のみならず、因果応報という教訓をも教えていたようだ。

(おおぐろてん:イラストレーター ミステリーニュースステーションATLAS編集部 )

画像©写真素材足成


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