日本三大怪談と言えば、「東海道四谷怪談」「累ケ淵」そして「番町皿屋敷」である。
また「四谷怪談」が創作であり、「累ケ淵」が実話であるとされているが、この「番町皿屋敷」は微妙である。この話は、創作なのか、実話なのか不明なのだ。
筆者が取材しただけでも三箇所もある。姫路城の井戸で起こった話であるとか、彦根藩の江戸屋敷での出来事であるとか、或いは都内の武家屋敷であった実話であるとか。全国各地にその候補地が溢れているのだ。
個人的には割ったとされるお皿と、怨霊供養の嘆願書(藩内の女性の連名による、主家の女性の名前もある)が残される彦根の話が実話のように思えるのだが、実は不手際により無礼討ちにされ、井戸に放り込まれる女性は多かったのかもしれない。
以前、密教の正規の尼僧である茶羅尼女史に霊視してもらったところ、お菊さんのお菊とは、「お聴く」という意味であり、他家から諜報活動を依頼された女性を暗示しているという。
つまり、スパイ活動の上、始末された女性の悲劇という見立てである。果たして、「番町皿屋敷」の真相はどこにあるのか。今後の研究が待たれる。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像は『番町皿屋敷 お菊と播磨 [DVD]』ジャケット写真より