昔から「ミルキーはママの味」のフレーズで親しまれているキャンディ、ミルキー。
ミルキーのイメージキャラクターといえばペロリと舌を出した女の子の「ペコちゃん」だが、このペコちゃんに恐ろしい都市伝説が存在している。
ペコちゃんは「永遠の6歳」という設定なのだが、戦時中に生を受けて育ったペコちゃんは空腹を我慢できず、いつも泣いていたという。食べさせてあげるものもなく、仕方なくペコちゃんのお母さんはお乳の代わりに自らの血を舐めさせた。
さすがに毎回ではなかったのだが、ペコちゃんは少しずつ血の味を覚えてしまった。
そして、成長したペコちゃんはひもじさから、お母さんを食べてしまったというのだ。
「ミルキーはママの味」とは、ペコちゃんが文字通りお母さんを食べてしまったことに由来するのだ…というのが、少し前に囁かれているペコちゃんの恐ろしい都市伝説だ。
だが、これはあくまで都市伝説でしかないと断言する。
ペコちゃんというキャラクターが出来たのは戦後5年経ってからの1950年で、6歳という歳も1958年の公募キャンペーンで決定したもの。確かに年齢からは戦時中の食糧難の時期を経験しているように思えるが、特に深い意味はなかったのである。
この恐ろしい都市伝説が生まれた背景には、ネットで検索すると出てくる恐ろしい顔をしたペコちゃんのパッケージが由来しているかもしれない。
初期のミルキーのパッケージには大きくペコちゃんとポコちゃんがデザインされており、目の部分が可動するシールが張られていた。この目の部分が経年劣化したために血走ったように見えてしまう写真がネットで有名になってしまったこと、また初期のペコちゃんはキャラクターのデザインや年齢、造形が固まっておらず、見ようによっては怖い印象を与えるものも存在したこと等が都市伝説の成立に手伝ったのかもしれない。
そもそも、この「本当は恐ろしいペコちゃん」は比較的最近囁かれるようになった噂であり、完全な都市伝説なのである。
初期のペコちゃんを知らない若い人たちが、昔のペコちゃんの画像を見た衝撃と有名なキャッチフレーズが結びついて生まれたものと見るのが良いのではないだろうか。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)