先日アトラスでも報じた桂歌丸さんの死去。最後まで噺家であり続けた名人らしい、立派な生き様であった。
歌丸さんの訃報に、盟友の林家こん平が嗚咽した事は多くの視聴者の涙を誘った。共に「笑点」旗揚げのメンバーであり、例えようのない寂しさを感じたのかもしれない。
歌丸さんのお別れ会では、噺家らしく明るくこん平のギャグ「チャラーン」で送ってもらいたいと思うのは、筆者だけであろうか。
こん平は現在難病と闘っているが、林家三平の総領弟子として三平の死後、一門をよくまとめてきた。まだ、二つ目だった三平に米一俵担いで弟子入りしたエピソードは有名である。(米の量はもっと少ないという説もある〉
弟子入りした当初は、今のように肥満体ではなく狐のように痩せていたから、「林家こん平」になったという説が有力である。
生前、歌丸さんが語っていたこん平のエピソードにこんな話がある。
歌丸さんが北海道である店に入ったら、その店の主がやたらにいろんな事を聞いてくる。
「歌丸師匠、ビールは飲まれますか?」
「師匠、チャーハン召し上がりますか?」
あまりの気の使いように、ビックリした歌丸さんが
「私はビールも飲まないし、チャーハンもいらないよ」
と答えたところ、店主はこう答えた。
「いやぁ〜、以前こん平師匠が来店された時、ビールだせ、チャーハン作れって大騒ぎしたもんで」
今頃、歌丸さんは先代の三遊亭圓楽師匠や立川談志師匠らとあの世で再会しているかもしれない。黄金メンバーで天国寄席でも是非やって欲しい。
さようなら歌丸師匠。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
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