事件

自殺へ導く「青い鯨」、全世界に広がるSNSを舞台とした「死のゲーム」

 参加すると、次第に精神を蝕まれてやがて自殺の道を選んでしまう…そんな都市伝説のようなSNSを利用した「ゲーム」が存在し、話題になっている。

 発端はロシアのSNS上で行われたもの。
 グループ内に参加したメンバーはゲームの進行役であるゲームマスターに接触。プレイヤーはゲームマスターから与えられる「指令」をクリアしていく…というものなのだが、初めは「一日中ホラー映画を見る」「毎日朝4時20分に起きる」など多少困難であるがやれなくはない難易度の指令だったものが、やがて「腕や足に鯨の絵をナイフで刻んで証拠の写真を撮って掲載する」「ビルの屋上の縁に立って写真を撮って投稿する」など、異様な内容のものが増えていく。




 この辺で異常を察知して止めればいいのに、と思えるかもしれないが、ゲームマスターが参加者達をコントロールする仕組みは非常に狡猾なものだ。
 初めの数回で簡単な指示に従わせる事で、「命令に従う」事があたりまえだと慣れさせる。そして慢性的な睡眠不足に陥るような指令を出し、正常な判断力ができないようにさせる。更に参加者は常にゲームマスターからコンプレックスを刺激させられたり、自尊心を傷つけられる言葉を常に浴びせかけられるため、自己肯定感が希薄になっていく。

 こうして擬似的な主従関係を築きあげ、ゲームマスターからの命令は絶対であると認識させるように仕向けていくのだ。また、参加者の中には自身の個人情報をゲームマスターに申告していたため、その情報を盾に脅されたり、Skypeで実際に説得されたケースも存在していたという。

 一方で、参加者達は互いに励まし合いながらミッションに挑んでいく。困難なミッションをクリアした後は他の参加者によく出来たね、凄いねと褒められる事で、余計に困難なミッションに挑戦しようとしてしまうのである。そして、ゲームマスターはミッションをクリアできる人は選ばれた者であり、彼らだけの世界があると吹き込むのである。 

 「“S”で始まる人生で最高のものは、家族(семя ‘semiya’)、土曜日(‘Saturday’)、セックス(‘Sex’)、そして自殺(‘Suicide’)だ」
 
 このように繰り返し吹きこまれ、判断力の低下した参加者の若者は最後の命令である「開始から50日めに自殺せよ」の指示を受けて、書き置きをSNS上に上げて自殺を選んでしまうのである。

 このゲームによって、影響を受けた若者の130人以上が自殺を本当に実行してしまったとされており、これによって若年層の自殺率が大幅に上がったとも言われている。

 自体を重く見たロシアのサンクトペテルブルグ当局は昨年11月にゲームマスターのリーダー格であった21歳の男性フィリップ・ブデイキン(Philip Budeikin)を逮捕。彼は5年かけてこのゲームを考案したと証言しており、被害者の少年少女らは「生物学的なゴミ」であり、社会を綺麗にしただけと述べているとのこと。

 このSNSを舞台にした恐怖のゲームはロシアを中心に世界中に広まっており、中国やインドでも類似のサイトが出来、自殺者が増加しているという。

 今のところ海外でしか報告されていないが、この恐怖のSNSゲームが日本に入ってくる可能性も捨てきれないのである。

(飯山俊樹 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)