伝説のハイジャック犯D.B.クーパーと疑われている男の娘が、証拠のDNA鑑定によって父親の容疑が晴れることを期待して、重要証拠品のネクタイを公開するようFBIに要請して注目を集めている。
D.B.クーパーハイジャック事件は、1971年に発生した未解決事件だ。11月24日午後4時35分、アメリカの上空を飛行していたノースウエスト航空11便にて、一人の男性乗客が客室乗務員の女性にメモを渡し「爆弾を持っている」と告げた。
男性は鞄の中に導火線が繋がったダイナマイトを所持しており、身代金20万ドルとパラシュート4つを要求。身代金とパラシュートを受け取った犯人は乗客全員と客室乗務員2名を解放し飛行機を離陸させ、午後8時11分頃に高度約3000メートルの飛行機からパラシュートを付けて飛び降り、逃げおおせた。
この事件は長年に渡って捜査や研究が行なわれているにもかかわらず、今も犯人のD.B.クーパーの正体や行方は要として知られていない。
ところが昨年、かねてよりこの事件を追跡してきた研究者のエリック・ユリス氏が重要証拠品として保管されているD.B.クーパーのネクタイに捜査当局が見落としていたとされる調節可能なスピンドルが付いていることを発見。
もしクーパーがその機構を使用していたのであれば、その箇所からD.B.クーパーのDNAを抽出できる可能性があるとし、この仮説を検証するために情報公開方に基づきネクタイの引き渡しを申し出たのだ。ちなみにユリス氏はスカイジャック事件当時、その合金を製造していた唯一の施設でエンジニアとして働いていたヴィンス・ピーターセンという人物がD.B.クーパーではないかと指摘していた。
彼の訴えは昨年12月に棄却されたが、今度はユリス氏にD.B.クーパーの正体であると名指しされたピーターセン氏の娘であるジュリー・ダンバーさんが証拠品を公開するよう訴え出たのである。
その背景にはユリス氏の大胆すぎる仮説があると彼女は説明する。亡くなった父親がクーパー事件の容疑者の疑惑を着せられた報道を見た彼女は憤慨し、ユリス氏の仮説にかなり懐疑的であることを伝えるために連絡を取ったという。
ダンバーさんによれば、同様のネクタイピンを父が着けていた記憶はないとのことで、「父が職場に置いていたものをハイジャック犯が借りた」という可能性については認めたものの父親が1971年の誘拐事件と何か関係があるという可能性についてはきっぱりと否定した。
また、ハイジャック事件が祝日である感謝祭の前日に起きていたことから、家庭的な人物であった父親では考えられないことだと主張。亡き父も自分の名前が伝説的な事件と結びつけられていることを知ったらさぞあきれ果てただろう、と述べる。
ともあれ、「父がD.B.クーパー本人であるということに関しては、絶対にない」と彼女は断言。父親の汚名を晴らすべく、彼女もまたFBIに対してネクタイのスピンドルからDNAを抽出するよう要請したのだ。
しかし前述の通り、ユリス氏による証拠品引き渡しの訴訟は昨年12月に判事によって却下されている。 その判決の法的根拠を考えると、ダンバーさんがDNA鑑定に積極的に参加したとしても、FBIがネクタイの公開を許可する可能性は極めて低いとみられている。
Daughter of D.B. Cooper Suspect Calls on FBI to Release Necktie to Clear His Name https://t.co/KahBjF2y4o
— Coast to Coast AM (@coasttocoastam) January 22, 2024
（加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部）
画像 ウィキペディアより引用
