今年の6月、1971年に発生した渋谷暴動事件にて警察官を殺害した容疑で全国に指名手配されていた大坂正明容疑者が逮捕された。事件が起きてから46年にわたる逃走の末の逮捕であり、報道された際は世間の注目を集めた。
大坂容疑者以外にも、永年指名手配された犯人が逮捕されるケースは度々起きており、2011年や2012年にオウム真理教事件で特別指名手配されていた犯人らが逮捕されたケース等は記憶に新しい。
逮捕された逃亡犯をニュースで見た際に誰しもが思うのが、指名手配のポスター写真と顔が違って見える事ではないだろうか。勿論、事件が起きてから年月が経っている事もあるのだが、永年の逃亡生活は容疑者にも負担になるようで、そのストレスが外見に及ぼす影響は少なく無い(勿論、発覚を畏れて整形手術を行ったりするケースも存在する)。
指名手配犯のポスターの中で、かなりのインパクトを誇っていたのが「おい、小池!」のキャッチコピーで有名になった徳島・淡路節放火殺人事件の容疑者として広域指名手配された小池俊一だ。
彼は2001年4月にパチンコ仲間である知人の親子を殺害した後に放火、被害者の自宅から数千万円の預金が入った通帳を奪って逃走していた。
彼の指名手配ポスターは犯人の名前と特徴を覚えやすいデザインと簡潔なキャッチコピーで多くの人に強い印象を与えるものであり、テレビ番組で取り上げられた事もあった。しかし、小池容疑者が逮捕されたという話は聞かない。彼は一体どこにいたのだろうか。
実は、彼は事件後に出会った女性の家で同居し、岡山県のマンションに潜伏しほとんど家から出ない生活を送っていた。そして2012年10月、女性がトイレで倒れている小池を発見。心臓疾患による病死と判明し、葬儀が行われることになったのだが、女性が小池の本名を知らなかったため不審に思った葬儀会社が通報し、遺体の指紋から小池本人である事が判明したのである。
永年の逃亡生活で、小池はすっかり老けこんでしまい、指名手配のポスターとは似ても似つかない風貌になっていた。また、女性の方も自分は一人暮らしであると彼の存在をひた隠しにしていたため、彼は死亡するまで正体が解らなかったのである。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像は『おい、小池! 全国指名手配犯リスト付き未解決事件ファイル』表紙より