【妖怪ウォッチ研究序説】実は同じ妖怪がモデルになっている?妖怪「犬神」と「ズキュキュン太」

※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。




ピンク色にハート型の耳と、一見可愛らしい姿をしているが、そこはやっぱり妖怪。「自分のかわいさに気づいていて、うまく周りを利用する。

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実はちょっと腹黒い妖怪がキュン太郎とズキュキュン太だ。キュン太郎の時は小さい子犬の姿だが、進化してズキュキュン太になるとひな祭りのお内裏様(おだいりさま)のように、烏帽子(えぼし)に狩衣(かりぎぬ)と袴(はかま)、手には杓(しゃく)を持った平安時代の貴族風の姿になる。

実は日本には昔から、ズキュキュン太に似た姿の妖怪が伝えられている。その名も「犬神」という……が、この「犬神」は妖怪ウォッチに出てくる、レア妖怪の犬神とはまったく性質が違う。姿はズキュキュン太と同じく、平安時代の貴族や神主、時には僧侶の格好をした犬として描かれることが多い。

しかし実際には犬よりもネズミやイタチに似た姿をしており、人にとりついて不幸にさせてしまうのだ。

犬神にとりつかれた人は病気になったり、犬のまねごとをするようになったり、精神に異常をきたして人がかわったようになってしまうとされている。

妖怪ウォッチに登場する裏キュン太にとりつかれると「腹黒さ全開の人になってしまう」そうだが、正しくこれと同じような状態になってしまうのだ。裏キュン太は「ズキュキュン太のあらゆる腹黒い面が詰まったような最悪の妖怪」だが、もしかするとこちらが本来のズキュキュン太の姿なのかもしれない。

犬神

一方、妖怪ウォッチで「九尾のキツネよりめずらしい」と紹介されている犬神。神聖な妖怪にあたるようで、妖怪大辞典にも「その毛が一本でもあれば一族の幸運が保証される」と書かれている。

実際の犬神はやっかいな妖怪だが、名前は違うが信仰対象になっている犬の妖怪も存在する。それがお犬様や大口の真神だ。この場合の『犬』はペットとして人間の側にいる犬ではなく山犬、野生の『狼』のことだ。今では絶滅してしまったが、狼は日本で唯一の獰猛な肉食獣だった。

力が強く、群れを作って組織だった行動を見せ、むやみやたらに人を襲うような行動はしない狼の姿を見て、昔の人は恐怖すると同時に山の神様やそのお使いとして信仰もするようになったのだ。現在の奈良県では長年生きた狼が真神になると言われ、真神は悪人にのみ危害を加えるとされていた。

埼玉県秩父市の三峯神社の『お犬様』はその典型的な例だ。畑を荒らすイノシシなどの獣を捕まえる狼は、農作物を守ってくれる神様のお使いと考えられるようになった。

同時に狩りをする狼の姿から、お犬様が描かれたお札は盗賊・盗難よけや災害よけに御利益があるとされるようになったのである。

(黒松三太夫  ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)

キュン太郎 ズキュキュン太 裏キュン太





 

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