※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
古典妖怪の河童の体が青くなり、虎のような黒いしま模様のついた水虎は、大辞典にあるとおり中国原産の妖怪である。中国と日本は昔から関係が深く、中国から伝わってきて日本に根付いた伝説や文化も多い。
実際の水虎は妖怪ウォッチに出てくるものよりもはるかに恐ろしく、強そうな姿をしている。江戸時代の絵師・鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』には川縁に腰掛ける水虎の姿が描かれている。
それによれば、水虎は河童と同じく子供ぐらいの大きさなのだが、全身がセンザンコウのような大きく頑丈な鱗で覆われており、刃物でも傷が付かないという。膝頭には虎の爪のようなものがついていて、イタズラをしてくる子供を水に引き込んでくるとされていた。また中国では、うまく水虎を捕まえることができれば自分の手下として働かせることができるとも言われていた。
このように、基本的に中国にしかいない水虎だが、青森県にも水虎と呼ばれている妖怪の伝説が残っている。
しかしこちらの水虎はあくまで河童のボスにつけられたあだ名のようなものであり、中国の水虎とは違うようだ。もっとも、河童にとってはどちらであっても結局「頭の上がらない」存在のようだ。
(黒松三太夫 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)