奇跡か、はたまた未知の技術によって造られたオーパーツか、と言われている物がイタリアはナポリのジェンナーロ教会に存在する。
今から約1700年前、聖ヤヌアリウスという人物がいた。彼はナポリの教会の司祭であったが、当時キリスト教を厳しく弾圧していたローマ皇帝によって首を切られて処刑され、遺体も行方しれずとなってしまった。
だが、100年ほど後にナポリにちかいボッツォーリの町にて、埋葬されていた聖ヤヌアリウスの遺体を数名のキリスト教徒が発見。遺体はナポリに移されることになったのだが、その道中で遺体を納めていた包みから血が滴り落ち始めた。さらにその時、民衆を苦しめていたヴェスビオ火山の噴火も止んだという。
人々は聖ヤヌアリウスが火山の噴火を止めたとして、彼をナポリの町を守護する聖人として崇めた。この時滴り落ちた血は集められてガラスの容器に入れられ、今も教会に大切に保管されている。そして、遺骨がナポリに運び込まれた5月と、彼が処刑された9月に公開される。ミサの最中に聖ヤヌアリウスの血が入った容器が揺すられるのだが、この時固まっていた血液が液状に変化し始めるのだ。
時間が経った血液は凝固してしまうものである。1700年前の血が今でも液体の状態を保ち続けるという事はあり得るのだろうか? そもそも、処刑されて100年後の遺体から血が滴り落ちる事も有るのだろうか。
聖ヤヌアリウスの血は何度か科学分析が成されている。聖遺物に当たるため、容器を開封して中身を直接分析することは不可能なのだが、容器の外側からの分析によると人の血液中にも存在するヘモグロビンが検出されるという結果が出ている。
しかし、この聖ヤヌアリウスの血は水酸化鉄を使用したコロイド溶液があれば再現可能であるとされている。
コロイド溶液は普段は個体だが、刺激を加えると液化するという特徴がある。だが、この仮説も容器の外から得られる情報のみから立てられた説なので、断定する事はできない。
ナポリの人は、今でも聖ヤヌアリウスの血の奇跡を信じている。
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The blood of St. Januarius was liquified while the Pope visited Naples
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)