ザ・ワイルドワンズは、日本のバンド、グループ・サウンズである。1966年にデビューし1971年に一度解散、1981年から2010年ごろまでは「加瀬邦彦とザ・ワイルドワンズ」として再結成。
2015年に加瀬が逝去すると彼の次男が正式にメンバーとなり、これによって鳥塚しげき・島英二・植田芳暁の3人と合わせ、2024年時点で結成58周年、平均年齢76.6歳の日本最高齢バンドとなっている。
グループ名は「野生児」を意味しているが、加瀬と同じ慶應大学の先輩であり、旧知の間柄であった加山雄三が星占いによって命名したものであるという。
彼らのデビューシングル「想い出の渚」は、のちにキャンディーズ、天童よしみ、吉幾三、桑田佳祐など数々のアーティストによってカバーされるほど、ザ・ワイルドワンズの代表的な曲となっている。
しかし、この大ヒットデビュー曲の誕生には紆余曲折があったという。
ザ・ワイルドワンズ第一号曲となったこの曲は、タイトルも決定し発売を待つだけという状態となったその矢先、レーベルである東芝のディレクターによってシングルA面の変更が提案されてしまった。
ディレクターからA面として提案されたのは、「想い出の渚」と同日にレコーディングされた「ユア・ベイビー」という曲で、これは加瀬がかつて所属していた寺内タケシとブルー・ジーンズの頃にリリースされた楽曲の、いわゆるリメイク曲だった。
ブルー・ジーンズがセールス的にも実績があったことによる”保険”であったようだが、新グループの構想を描いていた加瀬はこれに反発し、一時は東芝からのデビューを無しにすることまで仄めかしたことで、結局「ユア・ベイビー」はB面に留まった。
とは言え、これで安心できたわけではなかった。シングルジャケットが出来上がったのだが、そこに写るメンバーの姿が少々暗い表情であるため、加瀬はすぐに変更を要求した。
だが、すでに印刷を済ませて出荷を待つ段階に入っており、結局10万枚の出荷を達成したあとにジャケットを変更するということで手が打たれることとなった。
こうしてリリース後、発売10日間でリリース10万枚を達成したことで、めでたくジャケットは明るい表情をしたメンバーのものに変更された。A面に「想い出の渚」、B面に「ユア・ベイビー」のレコードジャケットが2種類存在しているのはこのためである。
【参考記事・文献】
・https://syowa-kayo.net/4766/
・http://music-calendar.jp/2018110501/
・https://www.chunichi.co.jp/article/984163
・https://ameblo.jp/toppops371/entry-12498014056.html
【アトラスニュース関連記事】
米軍基地ライブから大脱出?!GSブームを築いたバンド「サ・スパイダース」伝説
東芝撤退『サザエさん』が「番組50周年」か「作者生誕100周年」で終了説!?
【文 イトフゆ】