新五捕物帳は、『遠山の金さん』『伝七捕物帳』各シリーズの作者としても知られる時代小説家の陣出達朗原作の時代劇小説、そして1977年から82年まで放送された時代劇番組である。ドラマでは、杉良太郎が主人公の岡っ引き・駒形の新五役をつとめていると共に、オープニング主題歌『江戸の黒豹』を歌唱する。
天保年間の江戸を舞台に主人公が難事件を解決していくハードボイルド時代劇であるが、当時の風俗や習慣に対してかなり忠実であり、また御用聞きの携帯する十手の扱いについても、実際の使用法に基づいた工夫がなされている。
こうしたリアリティ志向もあり、勧善懲悪が基本様式となっていたそれまでの時代劇とは一線を画したストーリー構成にもなっていた。
例えば、善良な市民が惨たらしく殺害されたり、欲に釣られて罪を犯した人物が用済みを言わんばかりに悪人に始末されるといったものなど、庶民の苦悩や悲哀に強く焦点を当てたものとなっている。
このため、本作は後味の悪い結末、いわゆるバッドエンドとなる回が非常に多いことでも知られているが、それでも視聴率20%強をキープした人気作品であったことには違いなかった。その人気を高めた最大の理由は、杉による殺陣のシーンであった。
悪人に対する新五の制裁法は、いわゆる容赦のない鉄拳であり、悪事に対して新五がブチ切れをして悪人を殴ったり蹴ったりすることがおおよそのフォーマットとなっている。
血まみれになるほど殴り続けるということも珍しくなく、ゴールデンタイムに放送されたものとは思えないような内容だったと言えるだろう。
そんな新五の殺陣・アクションシーンは、素手で刀を持った相手を合気道でバッタバッタと倒していくさまが見物であった。そもそも、本作にて杉は養神館合気道の指導を受けており、なんと段位まで得ている。
本物の合気道の技術によって杉による殺陣・アクションシーンは、投げるわ飛ばすわのオンパレードで本作の名物とも言えるほどに人気を得たが、その一方で撮影時は生傷が絶えなかったようである。
【参考記事・文献】
・https://www.jidaigeki.com/peri/sagyo/index_45.html
・https://dic.nicovideo.jp/a/%E6%96%B0%E4%BA%94%E6%8D%95%E7%89%A9%E5%B8%B3
・https://dic.pixiv.net/a/%E6%96%B0%E4%BA%94%E6%8D%95%E7%89%A9%E5%B8%B3
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【文 イトフゆ】